【ツイステ】限界社畜が人魚に救われるまでの話 【男主】

19話 ページ21

『離れないでくれよ。困る』
「えー……だって見たことないやつばっかで気になるんだモーン」

子供達から離れて、クレーンゲームの間を進む。その中で、フロイドが勝手に離れないように頼んだ。

「紐で縛ったらどうですか？」
「はぁ？アズール、何言ってんの？そんなの嫌だに決まってるじゃん」

俺は、幼児歩行用ハーネスをつけるフロイドを想像した。確かに外でそれは嫌だろう

「おやおや、合ってますが少し違います。Aって結構考え方が極端ですよね」

『兄弟なんだし、ジェイドがフロイドと一緒にいるのはどうだ？』

「えー！今、ジェイドと手を繋ぐ気分じゃない……あっ！Aと手を繋ごうよー」

迷子防止の為、俺はフロイドと手を繋ぐ事になり、やっとゲームセンターの出口まで来た時の事だった。

「ゔゔん？？」

ジェイドがピタリと動きを止める。

「ジェイド？どうしたのですか？ジェイド？」

アズールが、ジェイドの体を揺さぶるがビクともしない。

何があったのか、

ジェイドを覗き込むと視線は一点に集中していた。
俺もその場所に視線を動かす。

その硝子の向こうには






茸の人形が居た。

手足と顔が付いた茸の人形だ。

「僕、あの方が欲しいです。」
『なんて？』

「緩やかな曲線で象られた茸型のボディに細い手足。特に小さい足が可愛らしく。顔は、少し開かれた緩く愛くるしい口元。そして、僕を見つめるタレ目なつぶらな瞳が僕を一目で虜にしてしまったのです！！」

「「は？」」

アズールとフロイドが困惑している。
ジェイドは気が付いてない。
「僕は！あの方に一目惚れしてしまいました！」

『あっうん。わかった。 詰り、取れば良いんだな？』

一目惚れ発言に、宇宙を背負った2人を見てはしゃいでるジェイドは珍しいんだなと思いつつ。双子ってやっぱり似てるんだなと、思った。

人形は1発で取れた。隣で、宝石が付いているペンを持ったジェイドが俺の真後ろに立ちながら、アームを見詰めていたのが硝子越しに映っていた。


ゲームセンターを完全に出た頃には、手を男同士で繋ぎあい。後には人形に笑顔で抱き付いている男とそれらを冷たい目で見つめている男の、4人が出来上がった。

ショッピングモールについてからまだ30分程の出来事だった。

ゲームセンターの前に電気屋があったので何よりも先にそこに向かった。
早急に連絡手段が必要だと思った。

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