好きな人に彼女が出来た件について。[ 終 ]

嫌いじゃないけど好きでもない。 ページ7

.



九井 side




Aとは割と長年の仲でもある。
まぁ、中学が同じだから尚更。



イヌピーが年少に行ったぐらいから、だけど。

それから、イヌピーが出所したときに、
2人が出会って、一目惚れしたらしい。




それから、相談やらなんやらされて。


だから俺も、
てっきり2人はくっつくかと思った。





けど、違ったんだ。


高校生になったのなら、
イヌピーは同クラの女子と交際した。




その報告をされて、良かったなーとか言ったが、

イヌピーには、
Aには言うなと言われた。





理解しがたかったけど、言わなかったけど。

あっけなくバレて、
Aは嘆いていた。




｢まぁ、乾くんが本気で好きってなら、
いい子なんだろうね。｣


九井｢女の裏の顔はわかんねぇけどな。｣





｢あー、ありそう、騙されてそう。｣


九井｢……………で、
作戦でもあんの、お前。｣




｢ないかなーー、あーなんかなぁ、
私さ、乾くんのどこが好き？って聞かれても、
答えられない気がしてきた。｣





ぽつり、と言い出しては、
公園のベンチに座って、



写真を眺めてるのを見つめた。






いや、え、なに。
俺は今から何を聞かせられんの。
Aの身の上話とか、結構どうでもいいけど。



｢どうでもいいとか思ってるっしょ。｣


九井｢かなり。｣





｢うん、だよねぇ、うん。
九井くんは逆にいいの？赤音さんの事もあるし、｣


九井｢別に、お前はお前で、赤音さんは赤音さん。
嫌いじゃないしな、お前のこと。｣





｢ははっ、うん、そうだね。｣



って、悲しげに笑うものだから、
隣に座ってやる。



視界の端には、イヌピーと彼女さんがいた。





頬を赤らめて、手を繋いでるもんだから。
あぁ、いまAみたら、泣くな、って、



わかってたから。





お前の初めては全部イヌピーなんだろうけど、


イヌピーの初めてはもう他の誰かだぞ。
余裕ぶっこいてたお前が悪い、





わかってんだろ、A。




胸ぐら掴んで、
強引に唇を重ねたのなら、


イヌピーと目が合ったと思う。




下唇を噛んで、目をそらして、

何も無かったようにと、
通り過ぎていく。





突き放されて、涙目で見つめられるから。




九井｢イヌピーと彼女がいた、｣



｢……………それなら、キス、
しなくても良くね。｣





顔を真っ赤にしながら、
目をそらすAを、




俺は見つめるだけだった。

女の噂は5分で広まる。→←灰谷兄弟曰く。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す