これはきっと勘違い。 ページ39
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九井 side
後悔してることがあるのならば、
きっとそれは、
あいつ、のことかな。
天竺と書かれた特服に腕を通して、
考えたのは彼女のことだった。
ご主人様は私だ、なんて言いやがったせいで、
殺されかけたのに、笑ってたんだ。
本当に、馬鹿だなぁ、あいつ。
どこに惚れたんだろーな、ほんと。
赤音さんと似てなんかいないのに、
少しも同じじゃないのに。
心残りがあるのなら、いつもAだった。
その度に、仕方ないと吐き捨てて、
その手を掴んで、俺が連れてってやらないと、
あいつは、どこにも行こうとしない。
九井「なんだかなぁ、」
なんて、淀んだ空を見上げていた。
“ 九井くん見て!空が汚い!!!!”
“ 九井くん、私はこの世の神なのかもしれない。”
“ こっこのいくーーーん!!!聞いてよ!”
“ へへへっ、九井くんって優しいんだねぇ。”
“ 九井くーん?ごーもんとやらは終わったー?”
“ 乾くんがね、今日ね!!”
“ 怪我してるのほっとかないの!!”
“ いたいよ、こころが、ずっと痛い。”
コロコロと表情が変わって、
喜怒哀楽激しくて。
死ぬほど惚れてる。
俺が思ってる以上に。
蘭「なぁになに、Aちゃんのこと?」
九井「違う。」
竜胆「顔に書いてあるけどなー。」
蘭「ベタ惚れじゃぁん。」
なんて、灰谷兄弟に、
茶化されるのを、呆れた瞳で見つめたのなら、
イザナと目が合う。
心の中で舌打ちをした。
黒川「連れてくればよかったのに。」
九井「ばぁか、巻き込めるわけないんだよ。
弱っちいから、すぐ逝っちまうだろ。」
黒川「大切なんだね、あの子。」
九井「この前はどうも、たい焼きを食べたようで。」
なんで俺じゃなくてこいつなんだよ、
っていう気持ちが九割。
いつも誘うくせに、ふらっとどっか行く。
見つけるのがどれだけ大変か、
わかってないな、あれは。
見つけて、触れた瞬間どれだけ、
どれだけ俺が安心することか。
きっと、知らない。
黒川「ちゃんと好きって言った?」
九井「言った。」
蘭「えっっ、」
竜胆「可哀想。」
うるせぇ、って言葉を投げた。
汚い空、って笑うAが見えて、
振り向いても、いなかった。
声が、笑顔が、全てが、
愛おしく感じてしまった。
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サリー(プロフ) - ココくんが更に好きになりました!!神作品ありがとうございました!! (2月19日 15時) (レス) @page50 id: 197d152f6c (このIDを非表示/違反報告)
愚民 - これ以上のものは読んだ事がないってくらい素敵な作品でした。ありがとうございました。本当に心臓が押しつぶされそうになって見るのやめたくなった時もあったし、面白すぎてニヤニヤしてた時もありました。本当に最高です。これからも陰ながらずっと応援してます。 (2022年7月20日 14時) (レス) @page50 id: 59cc64d62b (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!神作品読めてホントによかったです!!次の新作も読みたいと思っちゃいましたwwwできればパスワード教えていただけたら嬉しいです! (2021年11月4日 21時) (レス) id: cefe0dde1a (このIDを非表示/違反報告)
み - もぉ〜ココくんの事一層好きになりました泣ギャグ線高くてこんなに感動する作品初めて出会いました!私の好みドンピシャです♡素敵な作品ありがとうございました。評価1回しか押せないの悲しいくらいです笑 (2021年11月1日 23時) (レス) @page50 id: f6714e7803 (このIDを非表示/違反報告)
ただのオタク。(プロフ) - 無茶苦茶キュンキュンしました! (2021年9月8日 13時) (レス) id: b6073e05a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2021年8月31日 16時