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自室の扉を開け、勢いよく鞄を放り投げた。封筒も床に投げ捨てた。
耳に障る音がしたけど、そんなのどうでも良かった。
ふと勉強机に視線を向けた。
大量に付箋が貼られた参考書の数々が棚に並んでおり、机には捲り癖が付き、クタクタになった教科書の山。
とめどなく得体のしれない黒い感情が湧いて出てきて、目の前の山を無性になぎ倒したくなる。
「はァ……」
そんな衝動を如何にか抑え込み、私はベッドに身を投げた。
顔を埋めた枕に腕を回して、ぎゅッと抱きしめる。
進路をどうしようか、とか。
面倒なことを考える余力もなくて、私はただうつ伏せに寝転がっていた。
__________________………
コンコンッ、という音で目が覚めた。
いつの間にか眠ってしまったようで、部屋は暗くなっていた。
怠い身体に鞭打って、私は起き上がる。
「……ん?」
もう一度、コンコンッと音がした。
音源は窓のようで、私はもしかしたら…という気持ちでカーテンを引いた。
星々の輝く夜闇を背景に、全身真っ黒の人物がベランダに立っていた。
「あッ!やっぱり」
急いで鍵と窓を開け、ベランダに出る。
「こんばんは、龍」
「……寝不足か?」
両脇に黒獣を従えた、龍こと芥川が私に手を伸ばした。
彼の手が頬に触れ、指が目尻を優しくなぞる。
突然の事だとしても照れくさくて、私は一歩身を引いた。
「ねぇ、外は寒いから。部屋にどうぞ」
彼の手を掴んで部屋の中へ促す。
最初は遠慮気味だった彼も、お茶を取りに戻った時には幾らか落ち着いた様子だった。
そして_______…彼の手には
「ッ見ないで……ッ!!」
取り返そうと伸ばした手を、逆に芥川に掴まれ引き寄せられた。
一直線に私を見る黒い瞳。
光の灯る事がないそれから、目を逸らすことが出来なかった。
「…元気が無い原因は、これか?」
無理やり上げた
なんとか逸らした視線の先で、封筒から飛び出した判定表が視界に入った。
そこに書かれたアルファベットの羅列。
"もっと勉強しないのが悪いんでしょ"
「……失敗したのか」
_____…あァ、恋人にまでも言われるのか。
〇
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雪見だいふく - このシリーズ大好きなので、続編書いて欲しいです!リクもさせていただきたいので、よろしくお願いします! (2021年10月22日 18時) (レス) id: 0b9e52d702 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 続編をお願いします! (2021年10月21日 22時) (レス) @page49 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみませんゴーゴリのヤンデレは…… (2021年10月5日 1時) (レス) @page45 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 上手だと思いますよ、棒人間しか書けない私にとっては羨ましいです。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - フョードルの制裁論お願いします (2021年8月22日 7時) (レス) id: 68ec6172c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2021年2月22日 21時