沖縄。 ページ43
目をゆっくりと押しあげれば、そこにはグランとバーンが。
グランの肩越しに円堂くんが見えた。
修也くんは居ない。
振り向き、プロミネンスのユニフォームを身にまとったバーンを睨み付けた。
「嘘吐き……っ」
その言葉を一言、吐き出しただけで、涙が込み上げてくる。
必死に涙を堪えて、バーンに向き合えば溜息をつかれた。
「あんた、俺と何年居た訳？まだ思い出せないとか、ふざけんなよ」
反射的に肩が跳ね上がる。
バーンの睨みはグランより、ガゼルよりも怖いんだ。
「こんな所までのこのこ追いかけてきて。おら、帰るぞ」
「どこに…？」
バーンが伸ばした手を拒否すれば、舌打ちを、皆に聞こえるくらい大きな音で。
「あんたがメソメソ泣くから、豪炎寺修也を探しに来てやったんだろ？興ざめだ」
「そんなこと、頼んでない……！」
1歩、下がればグランにぶつかった。
「だからお喋りが過ぎるって言ってるだろう。ほら、帰るよ。A君も」
ぐっと、グランに手を引かれる。
帰る場所なんて、待っててくれる人なんて居ないのに。
そんな場所に、帰りたくなんてないのに。
どさっ、と音がして。
グランも止まって、バーンも目を丸くした。
そこには青い髪の知らない…女の子がとても怖い顔をしてこちらを見ていた。
「宇宙人の痴話喧嘩か何か知らんけどな、アンタの荷物邪魔なんよ」
放り投げられたのは私の鞄。
私は、宇宙人……？
キャラバンに、雷門に2度と戻ってくるなってこと…？
鞄を拾い上げることも出来なくて、硬直してしまった。
グランの力が緩くなったのがわかり、反射的にグランを突き飛ばして。
鞄の紐を掴んで、皆から距離をとった。
バーンも、目を丸くして。
「バーン、」
ボールを蹴り上げてから、出来る限りの笑顔を向けた。
「ごめん……」
思わず堪えられなかった涙だ伝えば、蹴りあげたボールと共に消え去って。
「Aちゃん！！」
ばっと、伸びてきた誰かの手。
深い、森の中、蹲った。
バーンとグランが居る中で、雷門の皆が動けなかった中で
ひとりだけ。
秋だけが…私の名前を呼んでくれた。
青い髪の女の子はめちゃくちゃ怖いし、なんでわざわざ私の荷物持ってきてくれたのかもわかんないけど、とりあえず今は助かった。
鞄の中から淡いオレンジのジャージを取り出して、寝巻きから着替えて。
「確か…っとあった！」
鞄の奥底に眠っていた携帯。電源をつければ電波はちょっと不安定だけどよかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
