笑顔の裏。 ページ38
お父様の部屋を飛び出して、走る。
あの、グランにボールを蹴り付けられたグランド。そこに黒いボールが
たくさん転がってた。
私が、ここに居ると……修也くんの交渉材料になるなんて、そんなの、そんなの……！！
のんびり眠って、記憶を取り戻して、
和やかにウルビダと話していた時間も、
ヒートと答え合わせをしていた時間も、
全部。
ばん！！！
と、大きな音を立て、プロミネンスの共有スペースの扉を蹴り飛ばした。
裸足で。
肩で息をして、周りを見れば大半はいた。
「ネッパ。バーンはどこ」
「……え、あ…バーン様なら」
びっくりしたネッパは部屋に、と指を指した。
騒ぎを聞いつけたヒートが、驚いた顔をして瞬きをして。
「ヒート、君……知ってたでしょう。修也くんのこと！」
「……お父様から聞いたんだね」
「〜っ……ひどいよ、」
信じてたのに。プロミネンスの皆は……プロミネンスの皆だけは、私の……大切な仲間だって、
「信じてたのに…」
「先に、裏切ったのは……Aだろう」
「そんな、こと思ってたの……？もういい、」
ヒートとペッパを避けて、バーンの部屋へ向かう。
でも、バーンは居なくて。
エイリア学園に来てから、時間経過と体内感覚が食い違っている気がしてならなくて。
言いようのない倦怠感は、ストレスからだって思っていたのに。
異様に、眠り続けるのは……元からのものだと思ってたのに。
追いかけてきたヒートに睨みつけて、
「睡眠薬？それとも……エイリア石？」
無言で、視線を逸らしたヒートに、もう確信するしかなくて。
初めから、エイリア学園に協力者なんていない。
レーゼが正しかったんだ。
ずっと、ただ1人だけ……逃げてって言い続けてた。
「バーンはどこ。雷門のみんなは…どこにいるの」
どん、サッカーボールを床に落とせば地面にめり込んで。
ぶつかり合って盛り上がったタイルが、裸足の裏に突き立てられて。
「……バーン様は、雷門を追って沖縄へ」
「私、どれだけ寝てたの……」
「そ、れは…分かりませんが数日は……」
バーラが恐る恐る答えてくれる。
恐怖に目を泳がせるネッパに、目を合わせないヒート。
ウルビダも、ヒートも…優しく笑ってくれるから、あの頃と変わらないんだって安心してしまった。
バーンも、不器用なところは相変わらずだけど、優しいんだって、そう思ったのに。
黒いボールから赤い光が、淡く、柔らかく光る。
「さようなら」
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
