自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ37)

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めくるな。ページ37

帰り道、修也くんと円堂くん、一之瀬くん、風丸くん。
何故か結構な人数で帰ることになって不思議だったけど。

「じゃあな」

修也くんが不意に、そう言って。

「あれ豪炎寺そっちだったけ」

一之瀬さんの言葉に寄るところがあって、と修也くんは答える。
夕香ちゃんに会いに行くんだろうな……。

「ああ、ちょっと寄るところがあるんだ」
「また明日ね」

修也くんの背中に声をかければ軽く手を振っていく。
円堂くんと目が合えば、少し眉を下げて笑う。円堂くんもきっと修也くんが病院に向かったことに気付いた。

「一緒に行かなくてよかったのか」
「うん」

円堂くんに言われて頷けば、そっか、とだけ。

.

翌日、眠い目をこすって服を着がえる。

「Aちゃん！朝だよー！」
「おはよう、お姉ちゃん」
「あれ、起きてた。どこか出かけるの？」

寝巻きのお姉ちゃんを見ながらクローゼットから、オーバーサイズのくすみピンクのお気に入りのパーカーを取り出す。
うん、と頷けばちょっと寂しそうなお姉ちゃん。
勝手に引き出しを開けて、ショートパンツとハイソックスを出して渡される。

まって、今日は、スカートの気分でした。

「円堂くんが特訓してるだろうから様子見てくるの」
「1人で？」
「ううん、修也くんと」

ベットに座り込んだお姉ちゃんを見れば、まんまるの猫さんのクッションを抱えていた。

「ねえ、Aちゃん。サッカー……まだ楽しい？」

まだ、って言い方。
ちょっとため息をついて、横に座って靴下を履く。

「楽しいよ」
「……ならいいんだ」

むぎゅ、と抱きしめられる。

「無理しないでね」
「私はみんな事応援してるだけだよ」

軽く押しのけて、髪を簡単にまとめる。
ふと、思い出して振り返りお姉ちゃんを見た。

「赤い髪の毛で、緑の目した男の子って知ってる？」
「……どうして？」
「この間鉄塔広場で会ったんだけど…知らないならいいや」

掛けておいたバックを肩にかけて、行ってくるねと手を振って階段を降りていく。

「赤い……髪の男の子？」

玄関を出れば、修也くんが待ってた。おはようと声をかければ、足元を見られて。
ちょっと眉に皺がよってますが。
え、まさか……。

パーカーの裾を軽く持ってずらせば、一瞬慌てたような修也くん。

「これ、オーバーサイズの服だよ？ちゃんと履いてるって」
「だからって捲るな」
「履いてるって」

捲るなっていってるだろ、と捲っていた手を奪われ、そのまま手を繋いで歩き出す。