自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ36)

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おにぎり。ページ36

「あれ、木野さん達は？」

課題も片付けて、グランドへ行くと木野さんたちの姿がなくて。
近くで練習してた少林寺くん達へ声をかければ、さっきまでは居たことを教えてくれた。

「部室かな…」

部室まで駆け足で行くと、雷門さんの悲鳴が響き渡ってきた。
扉を開けると、ご飯粒がいっぱい撒き散らされてた。

「何事……」
「Aさん！」
「あ、おにぎりか」

扉を閉めて、私も手伝うよとエプロンを取り出せば少し得意げな雷門さんに「貴方におにぎりが握れるかしら」と挑発的な物言いを。

うん、たぶん。出来ないの雷門さんくらいだと思う。

「人並みだよ」

雷門さんがダブル茶碗でおにぎりを握って。ちょっと形に疎らな感じはあるけど丁寧に握っていく音無さん。

「わ〜！木野さんもAさんもすっっごく綺麗なおにぎり！」
「そうね、大きさも形も揃ってる」

木野さんと自分のおにぎりを見れば、目をきらきらさせた音無さんと雷門さんに目が合った。
木野さんと目を合わせて肩を竦めた。

「慣れだね」
「そうね、沢山作ってたもの」

雷門さんも少しずつ慣れてきたようで、形や大きさはともあれ楽しそうに目を輝かせておにぎりを並べていく。
雷門さん何だか可愛い。

炊飯器いっぱい使ってできたおにぎりを皆でグランドへ持ってく。

「みんな〜！」
「おにぎりができましたー！」

木野さんと音無さんの言葉に、目を輝かせて皆が駆け寄ってきた。
いっちばーん！と嬉しそうに手を伸ばしてきた円堂くん。その手を雷門さんは叩き落として。手を洗ってきなさいと水道を指さした。

ちぇー、と水道へ列を為して向かう中、鬼道さんはハンカチで手を拭きながら戻ってきた。

さ、さすが鬼道さん……。

みんなが手を洗って戻ってくると、1列に並んでしっかり洗ってきたことを手を出してにこにこの笑顔で教えてくれる。
ちょっと呆れたような修也くんと鬼道さんもしっかり手を見せてくれる辺りなんだか可愛い。

雷門さんの許可もおりて、皆は怒涛の勢いでおにぎりを食べ始めた。

「あ、修也くん。ちゃんと食べてる？」
「ん」

口いっぱいに頬張ってもぐもぐしてる。

「ふはっ、かっわーい」

つん、と頬をつつけば気付いた修也くんは恥ずかしそうに頬を染めていく。
音無さんも鬼道さんが頬張ってるのを見て嬉しそうにして……なんか、雷門さんは喉におにぎりを詰まらせた円堂くんの背中を叩いて。

「料理出来るのか」
「おにぎりくらい誰でも作れるよ」
「確かにそうだな」