○報われてくれるな、私の片思い＿＿1 ページ1
初めて会った時から、きっと私は逆先夏目に恋をしていたのだろう。
その髪の紅色は燃ゆる夕焼け。琥珀をそのまま嵌め込んだような蠱惑的な瞳。
整った顔つきでニヒルな笑みを浮かべて彼がこちらに話しかけてきたのが、私たちの初対面だ。今の今まで女子校育ちの箱入り娘だった私が、これで恋に落ちずして何をするというのだろう。
そう、だからこれはあくまで自然な流れ。私に落ち度は特にない、あるとしたら夏目の方だ。
情けないことに私は、人生で初めての想い人に対してまったく素直になれていなかった。
素直で純粋な女の子がかわいくて愛されるなんてことは分かってる。けど、自分を曲げてまで彼に愛されようなんて思わない。
それは決して自分を大事にしているとかではなくて、ただ単に面倒臭い。元ある自分と乖離した偽の自分でお人形劇をするのは、倒錯的なことだと目に見えている。
そもそも、彼はアイドルで私はプロデューサーの身だ。禁断の恋なんて言ってみればロマンティックだが、戒めを破ることの一体どこが浪漫だというのだろう。
だから私は片想いでよかった。初恋は叶わないという広く知れ渡っている噂を鵜呑みにして、私はこの恋慕を禁忌として胸の内に仕舞い込むつもりでいた。
それでよかった、のに。
「どどどどどうすれば、どう…どうすれば…どうしろと！？」
私はたった今見事に誤爆したLINEの画面を睨みながら、起こってしまった大惨事に対し行き場のない恨み言を呟いた。
逆先夏目ねえ、既読ついてるヨ逆先夏目どういうことなノ?
AいやほんとAごめんなさいA頼むから勘弁してA許してください 一時の過ちなんです
もはや弁解のしようがない。ただでさえ勘が鋭い彼に、これ以上の誤魔化しが効く筈もない。
逆先夏目別にいいヨ逆先夏目明日ゆっくり話を聞かせてもらうかラ
Aは?A学校でこのこと話すつもりか?Aもしそうなれば私はお前のはらわた引きずり出して縄跳びするけど
逆先夏目RADの歌詞みたいな脅迫やめテ
━━予想以上に事態は困窮に陥っているらしい。
私はスマホをベッドに放り投げ、続いて私もベッドに飛び込む。
「いや、どうしろってんだ本当」
行き場のない独り言も私の意識も、また夜の帳に沈んだ。
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月華 - 好きです。失礼しました (2020年9月19日 17時) (
レス) id: 561e3188bf (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - 瀬名さん» ありがとうございます！！！！！これからも精進していきますね！！！！！ (2020年9月10日 20時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名 - 好きです！ (2020年9月7日 23時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - sakuyah1226さん» わーー！！！！ありがとうございます！！！自己管理も更新もがんばります！！！！！ (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
浅ヶ巳 - るるさん» ありがとうございます！！、！これからも更新頑張ります！！！！！ (2020年9月7日 19時) (レス) id: 86116bbd22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅ヶ巳 | 作成日時：2020年8月28日 21時
