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『銀さん』





2、3歩進んだ先で




止まって振り返る





届かなくてももういいや




言いたい




それだけの気持ちだった






銀「んあ??」









『好きだよ』







溢れたようにシンプルな言葉が飛び出る






もっとドラマチックにロマンチックに




可愛く言うところをなんとなく想像してたけど…






うん、





私にはこれが似合う





銀「…あぁ、、、」





『あぁって、、バレてたか、



本当は言わないようにしてたんだけどね、やめた…




お登勢さんに人の心に残ってなんぼだって、



だから、



私は銀さんの心に一生住みついてやるって決めた




銀さん、会えて本当によかった』



伝わったらいいな


届いたらいいな



屁怒絽さんに貰った花を思い出す



"君ありて幸福"なんだよ



私にとって銀さんとしあわせがイコールなんだよ




『じゃあいこっか』




返事は聞けなくていい



そう思ってたから



伝えられただけで満足だから



また歩みを進める




(ばっ





振り回してた手を捕まれる





(トン




掴まれた勢いのまま



前に倒れる



抱きしめられていると



銀さんの胸の中にいると



気づくまでに



そう時間はかからなかった




『え、、ちょ、銀さん、、?』




予想してなかったから…びっくりする




銀「俺も……」




上から降ってくる声はすごく低くて優しい




銀「俺もお前に会えてよかったよ




一生、忘れねえと思う、、、たぶん」





『たぶんって…、、』



こんなときでも適当な言葉に



やっぱり銀さんらしいな、って笑っちゃう




銀「A、、好きだ」






え、、



それは、不意にきた





銀「弱いとこも強いとこも全部好きだ」






え、ちょ、え、、





想像もしてなかった言葉に頭は追いつけない




でも、顔が赤くなる




銀「だから、帰って来いよ、



あんまり待たせると忘れちまうからな」





『う、うん、、、』



涙が一気に溢れ出る





銀「泣いてんのか?!」



急に離れて顔を覗き込まれる




『ちょ、見ないで!今、涙と鼻水と恥ずかしさで



ぐっしゃだから』




手で顔を隠しても力で勝てるわけなく



簡単に引き剥がされる




銀「かぁわいい、、」



いたずらっぽく笑う銀さんは



涙を指でそっとふいた




その手はそのまま、頬にそっと触れた




太陽に照らされて




恥ずかしくて嬉しい







甘酸っぱいキスをする

.→←柑橘の香る恋心



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作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月11日 3時

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