第十三幕 ページ14
まさか聞かれているとは思わなかった。
部屋へ戻ろうと廊下を歩いていると、
「おい、A」
「……」
枝垂れ桜の上にいるリクオが俺に声をかけた。
無視して通り過ぎようと思ったが、また抱き上げられてしまった。
そして現在リクオの膝の上。
内心舌打ちをしながらも黙っている俺はどうかしている…刀で刺してしまえばいいのに。
ああ、それじゃあ、面倒事が起こるからダメだった。
だが…ただ膝の上に座らせられているだけだ。
逃げようと思えばすぐに逃げられる。
なのに、何故俺は逃げようとしないんだ。
「ん？大人しいな」
「！」
その言葉にハッとして、下りようとしたが下りる前に後ろから抱き締められる。
振り解こうともがくがリクオの力が強すぎて振り解く事が出来ない。
「さっさと逃げてりゃ良かった…」
ボソッと呟くと、リクオはクツクツと喉の奥で笑う。
それにカチンときた俺は氷刀を取ろうとしたがそれすらも阻止されてしまう。
「逃げなくても良いだろ？」
耳元で囁かれ、ビクンと肩が跳ねる。
するとリクオは愉しげにニヤニヤと笑う。
「な、貴様っ…」
「ククッ…可愛いな。お前」
「ぁっ…や、めっ…」
リクオは俺の耳を甘噛みし始める。
耳の中、縁をゆっくり舌の先でなぞられどんどん顔に熱が集中していくのが分かる。
至近距離でいやらしい音が聞こえて、脳内が真っ白になっていく。
「っ、ふ…ぁ…やっ…」
口からは自分のものとは思えない甘ったるい吐息が漏れる。
力が入らない…。
「はっ…可愛すぎんだろ…」
そう言うと、貪りつくようにリクオは俺の唇に唇を重ねる。
抵抗する気力も無くなった俺はそれを受け入れるしか選択肢はなかった。
「んっ…んぅ…ふぁ…」
口を開けると、その瞬間リクオの舌が口内に滑り込んでくる。
逃げ惑う舌を容易に捕まえ、絡め取る。
逃げ出したいのに逃げ出せない。
流石に苦しくなり、リクオの胸板を強めに叩くと素直に離してくれた。
「こっの…セカンドまで…」
「でも、良かったろ？」
ペロリと舌舐めずりをしてリクオは俺に問う。
そんなの、
「良い訳ないだろ。アホっ」
そう言い捨てて逃げ出した。
クソッ…油断した俺がバカだった。
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小豆 - キュンキュンしながら読ませていただきました！本当に大好きな作品なので、続編がとっても気になります！夜リクオ様のSっ気がある所に惹かれました((´艸｀*))これからも更新頑張ってください！ (2017年4月14日 18時) (
レス) id: 8e0dfb2a1b (このIDを非表示/違反報告)
ウラト - 頑張ってください！夜リクオ君がかっこいい！更新ファイトです！ (2016年5月2日 23時) (レス) id: 9d9d1106e6 (このIDを非表示/違反報告)
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