第十二幕 ページ13
毛倡妓に言われ、顔に熱が集中する。
「お、図星かい？」
口元に手をやり、ニヤニヤと笑う毛倡妓に反論しようとするが反論の言葉が出て来ない。
それは本当に私がA様に好意を抱いているからなのだろうか。
確かに、A様を初めて見たとき…鼓動が早くなった気がした…。
「まぁでも、あの化け猫２人がA様に触れる輩は許さないみたいな様子だからねぇ…精々頑張りなよ」
「なっ…クッソ…」
顔が熱い…やはり私は、A様のことが…───。
──夕方──
リクオ様がお帰りになり、夕食の準備は整ったが…A様の姿が見あたらない。
すると、ゆっくりと襖が開いて氷藍が三人分余った夕食を器用になにも言わず運んでいった。
昨日もここで夕飯を食べず、部屋で食べ…いつの間にか氷藍が片づけていた。
「あやつは騒がしいところが苦手だからのう…仕方あるまい」
総大将はそう言うが、騒がしいところもそうだが…他人が苦手というのもあるのではないだろうか。
しばらくし、また綺麗に片づけられた三人分の食器などがあった。
食器を置き、A様はどこにいるのか廊下を歩いていると…微かに歌声が聞こえてきた。
その歌声のする方へ歩いていくと、どうやら門の外から聞こえてくるようだった。
「！……あれは…」
門の外へ出ると、A様が木の上に座って歌を口ずさんでいた。
高い、綺麗な歌声が…静かに響き渡る。
しかしどこか、悲しげな歌…もしかするとこれは…───。
そう思ったその時、A様に忍び寄る黒い影が見えた。
明らかに奴良組の妖怪じゃない…そして、A様にその妖怪が襲いかかった。
「Aさ…──」
「……私の時間を邪魔するな…雑魚」
歌うのをやめ、静かに言い放つと…A様はその妖怪を刀で斬った。
月明かりに照らされて見えた姿は、黒い狐の耳と九本の尾を生やし、漆黒の着物に身を包み、長い髪を下の方で束ねていた。
焦げ茶色の瞳は金色に変化し、人間の姿とは考えられないほど凛々しいお姿。
「A…様？」
「………なんだ、またお前か…」
木から下り、私を横目で見るA様。
フゥと小さく溜め息を吐くと、人間の姿になり戻っていった。
胸に手をやると、またあの時のように鼓動が早くなっている…。
A様、やはり私は…貴女のことを好きになってしまっていたようです。
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小豆 - キュンキュンしながら読ませていただきました！本当に大好きな作品なので、続編がとっても気になります！夜リクオ様のSっ気がある所に惹かれました((´艸｀*))これからも更新頑張ってください！ (2017年4月14日 18時) (
レス) id: 8e0dfb2a1b (このIDを非表示/違反報告)
ウラト - 頑張ってください！夜リクオ君がかっこいい！更新ファイトです！ (2016年5月2日 23時) (レス) id: 9d9d1106e6 (このIDを非表示/違反報告)
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