第十幕 ページ11
しばらくまた刀を振っていると、奴良組の首無が俺の元へ歩み寄ってきた。
氷鬼と氷藍は思いっ切り殺気剥き出しにして首無を睨みつける。
「っ……」
2人に畏れたのか一瞬たじろぐ首無だったが、すぐに俺の方へ向かってくる。
「毎日のように、その2人と手合わせしているのですか?」
「……まぁな…」
目も合わせず、俺は首無と会話をする。
会話と言っても、本当に必要最低限以上のことは喋らない。
だからすぐに互いに無言になる。
「…用がないのなら部屋に戻る…氷鬼、氷藍。戻るぞ」
「はい」
氷鬼と氷藍は首無をもう一度睨んだ後俺の横を歩く。
そんなに睨まなくても良いというのに…。
まぁ、別に良いか…と1人で完結させて部屋に戻った…首無の視線を感じながら。
にしても、何故首無は俺に声をかけたんだ…そんな関わってもいないのに。
というか、まともに会ったのこれが初めてだろ。
「A様!やはり奴良組を出ましょう!」
「と、唐突だな…」
突然声を張り上げる氷鬼。
まぁ、理由は大体分かるんだけどな…。
「ここにはA様を狙う妖怪が沢山います。恐らくあの首無…A様を狙ってます」
この爪で切り刻んでやりたいくらいですと殺気剥き出しにする氷鬼。
氷藍は静かだが確かに殺気を放っている。
「考えすぎだ。俺の命を狙っているのだったら分かるが、俺自身を狙う奴など相当物好きな奴だ」
「ですが…」
「心配するな。俺はお前たち以外に心を許すつもりはない」
2人がこうやって奴良組の奴らから俺を引き離そうとするのは、自分達から俺が離れていくのが嫌だからだろう。
自意識過剰じゃない…前に言ってたからな。
心を凍らせた俺が唯一隙間を開けた存在、それが氷鬼と氷藍だ。
俺の心を少しでも溶かせるのは、この2人以外誰もいない…心を許して傷つけば元も子もない。
───まだ、弱いな…俺は。
それじゃあ逃げてるだけだ、でも…恐怖で埋め尽くされた俺はこうするしか選択肢はない。
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小豆 - キュンキュンしながら読ませていただきました!本当に大好きな作品なので、続編がとっても気になります!夜リクオ様のSっ気がある所に惹かれました((´艸`*))これからも更新頑張ってください! (2017年4月14日 18時) (レス) id: 8e0dfb2a1b (このIDを非表示/違反報告)
ウラト - 頑張ってください!夜リクオ君がかっこいい!更新ファイトです! (2016年5月2日 23時) (レス) id: 9d9d1106e6 (このIDを非表示/違反報告)
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