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第一幕 ページ2

「…今日は満月か」

木の上に座り、妖の姿でポツリと呟く。

満月を見ると心が締め付けられるように苦しくなる。

冷たい風が私の頬を撫でるように吹いた。

あの時も、こんな肌寒くて満月の夜だったなぁ…。

…父さんと母さんが、殺されたあの日。

だから満月の…肌寒い夜は嫌いなんだ。

私の冷めた心と体をもっと冷たくしていくから…あの時のことを鮮明に思い出してしまうから。

「……クソ…」

もっと私が強ければ、守れた筈なのに…私が弱かったばかりに殺されてしまった。

私は逃げることしか、出来なかった。

ハハ…情けない話だ。

それからというもの、私は誰も足を踏み入れない静かな場所を見つけて隠れるようになった。

他人と関わるのが怖くなった。

そしてついに、『愛情』も『温もり』も全て忘れてしまった。

でも、それで良いのかもしれない。

何も知らなければ…そういうものに触れさえしなければ、あんな事にはならない。

あんな事になっても、あんなに苦しまずに済む。

そっと目を閉じたその時だった。

「───!」

微かに妖気を感じ取った私は立ち上がり、辺りを見回す。

確かに感じた…只ならぬ妖気。

「誰だ…どこにいる…」

父の形見である刀を握り、構えた。

「へぇ…本当に居たんだな。黒い狐」

「!後ろか!!」

突然背後から声が聞こえたため、勢い良く刀を振りかざす。

しかし、刀は空中を切っただけだった。

誰にも当たっていない。

「…外したか…」

そう呟いたその時だった、ふわりと後ろから抱き締められたんだ。

誰なのかは分からない…だが、切るなら今だ。

「離せ…!!」

素早く刀を横に振るが、

「なにっ…」

刀を持っていた右手は、相手に掴まれ身動きを封じられていた。

なんとか相手の隙を付いて逃れ、別の木に移りソイツの姿を見て目を見開いた。

「…貴様、奴良組三代目か…」

そこにいたのは、奴良組三代目…だったのだから。

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小豆 - キュンキュンしながら読ませていただきました!本当に大好きな作品なので、続編がとっても気になります!夜リクオ様のSっ気がある所に惹かれました((´艸`*))これからも更新頑張ってください! (2017年4月14日 18時) (レス) id: 8e0dfb2a1b (このIDを非表示/違反報告)
ウラト - 頑張ってください!夜リクオ君がかっこいい!更新ファイトです! (2016年5月2日 23時) (レス) id: 9d9d1106e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 泰斗 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2015年9月22日 22時

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