小さな幽霊達に狙われてます【浦島坂田船】

ななわ ページ8

Aside

志「おい、A起きてや？」

「ん……ぅ」

軽く目を開くと眩しい光と頬を引っ張られるような感触

志「あ、起きたん？」

隣からはまだ聞きなれない志麻さんの声がする

視線を少し横に向けると紫色が目に入る

少し寝癖の付いた髪を指で撫でれば嬉しそうに擦り寄ってきて小動物のようだ

「ん……おはようございます、志麻さん」

そう言いながら体を起こし手のひらに志麻さんを乗せる

そしてリビングに向かおうと立ち上がった時


志「…なぁ、A」

「はい？なんですか？」


志麻さんに声をかけられ視線を合わせようと自分の手のひらに視線を向ける

志「その敬語、やめへん？」


そういきなり言ってきた志麻さんに私は一瞬停止してしまう

この敬語は私の一種の癖と言ってもいいだろう


「……絶対、ですか？」


そう尋ねると期待を含んだ目でこちらを見てくる志麻さんにこれはやるまで終わらないなと思い口を開く


「志麻……くん？」


うん、呼び捨ては無理だった

けれど志麻さ…くんのほうを見ると満足そうな顔をしているため間違えではなかったのだろう


「それじゃ、行こっか志麻くん」


停止していた動きを再開し歩き出す

これは慣れるのに時間がかかりそうだ……

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