【おそ松さん】居眠り少年は勉強を教えることになって【男主】

レッスン じゅうご、... side 四男 ページ18

桜庭A。


　


俺の友達。


　


桜庭財閥の、お坊ちゃん。


　


　


　


“よろしく、一松”


　


　


　


高校1年の春。


　


同じクラスで、王子様って呼ばれてて。


　


俺とは違う、人気者。


　


見ての通り根暗でひねくれ者の俺。


　


クラスでは当然浮いたし、友達もいなかった。


　


話すと言えば、チョロ松兄さんとトド松くらい。


　


でも居場所はあった。


　


体育館裏の、ちょっとした空きスペース。


　


そこにはたくさんのネコがいて、俺はよくそこに通っていた。


　


自然と足が向いてしまうんだ。


　


ネコに囲まれながら、餌をやったり、寝転がって日向ぼっこしたり。


　


でもやっぱり、少しは、寂しかったり。


　


まあ口には絶対出さないけど。


　


ある日、いつものようにネコたちの集まる場所へ行った。


　


そしたらそこで、Aが寝ていたんだ。


　


俺はびっくりして立ち去ろうとした。


　


けどネコたちに引き止められて、しかも直後にAは目を覚まして。


　


　


　


“俺と、友達になってくれよ。松野”


　


　


　


その透き通った、藍色の瞳が、俺をまっすぐ見つめて。


　


視線をそらすことが出来なかった。


　


言われたことが嬉しくて。


　


嫌われ者の俺に同情してんじゃないかって思った。


　


そんなことなくて、Aは俺に気を遣わなかった。


　


それは、対等として、心の拠り所として俺を見てくれていた。


　


Aのおかげで、クラスにも馴染めて。


　


今じゃ普通に友達もいる。


　


まあいなくてもいいんだけど。


　


だって俺には、こいつがいるから。


　


できれば兄弟たちには知られたくなかった。


　


だって絶対気に入る。


　


俺たち六つ子。


　


好きなもの、好きなタイプ。


　


大体一緒なんだ。


　


だから、この今の状況。


　


自分から言い出したとはいえ、不服だ。

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