魔女の正体のヒント5*4 ページ36
*
「おっ、来たな!A!」
「ち〜ちゃん先輩〜もう少し静かにして〜?」
私がスバルに連れられたままバスケ部が活動している体育館に入ると、それに気づいた千秋がこちらに駆け寄ってきた。
スバルが鬱陶しそうに千秋にそう注意すると、ふと、当たりを見回し始めた。
「スバル、どうしたの?」
「ん〜、サリーがいないなって思って!」
…それは良かったと、私は心の中で小さく息をつく。
この前の一件があって、最近は真緒と合わせる顔がないのだ。
真緒は私の魔女探しの裏切り者。
そう、零から聞いたはいいものの、それが本当に正確な情報なのかは分からない。
零が作った"ウソ"なのかもしれないし、誰かから聞いた"シンジツ"かもしれないのだ。
誰かから仕入れた情報を丸呑みにするのは良くないと、重々承知している。
「A先輩!なんか悩み事でもあるの?」
…いつの間にこんなに考え込んでいたのだろうか。
いけない、と思い俯いていた顔をあげると、千秋が笑って言った。
「おっ、なにか悩み事でもあるのか!それならこの俺が聞いてやろう…☆」
腰を手に当てて自信満々に言う千秋。
そんな千秋をみて、少し笑顔が零れる。
彼の明るい性格にこんなに救われるとは思いもしなかった。
「…どうせ、サリーに会いたくない事情でも、あるんでしょ〜?」
スバルはそう言った後、"図星でしょ☆"とでも言うかのように、ウィンクした。
「なんで、そんなこと」
「…ねぇ、教えてよ。Aがサリーに会いたくない理由。」
私が、真緒に会いたくない理由?
会いたくない理由、というのは、この前の一件のことを指しているのだろう。
私が、廊下で真緒とバッタリあった時のこと。
その時に、私が真緒に話した内容。
「教えられるわけ、ないでしょ。」
私がそう言うと、今までずっとスバルの隣で黙って話を聞いていた千秋が口を開けた。
「うむ…じゃあ、学院の魔女についての情報と交換…と言ったら、どうするんだ?」
そう言った後に見せた千秋の表情に、私は魅せられた。
こちらを見据えた大人びた目。
普段は見せないような表情に魅せられた私は、いつの間にか勝手に口が動いていた。
「…分かった。」
夕まぐれに鳴いた、カラスの声が、体育館に響く。
…
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moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2021年10月2日 10時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
Nanami(プロフ) - とても面白かったです!更新待ってます。 (2017年12月1日 21時) (レス) id: 78d4acc492 (このIDを非表示/違反報告)
鶴夜(プロフ) - こんな作品かけるなんてうらやま…もってもいい作品です!更新頑張ってください!応援しています!あ、Twitterフォロー失礼します! (2017年10月18日 21時) (レス) id: 4779c44224 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんずあめ(プロフ) - 紅 梅さん» コメントありがとうございます!試聴最高でしたよね!!私は個人的にナイトキラーズの歌がドストライク過ぎて…聞いた瞬間心の中でずっと叫んでました(笑)Knightsの歌い出し、とてもカッコよかったですよね〜!同感です**お話出来てとても嬉しいです!!** (2017年7月21日 20時) (レス) id: 5610f7d23b (このIDを非表示/違反報告)
ぽんずあめ(プロフ) - 悪魔さん» わ〜!2winkPさん!!私は2winkに一目惚れしてあんスタ始めたので…同じような方がいてとても嬉しいです**夢ノ咲箱推しでもありますけどやっぱり2winkですよね(笑)コメントありがとうございました!お話出来てとても楽しかったです!! (2017年7月21日 20時) (レス) id: 5610f7d23b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんずあめ | 作成日時:2017年2月19日 22時