【HQ】天使だと思ってた時期もありました。【青葉城西】

20話:虚しさ ページ20

国見side





あの後先輩達とは別れて、教室に向かった。

教室に入ると皆から「おはよう」と声をかけられた。あ、勿論俺じゃなく“古賀さん”が。

古賀さんが席に着けば、すぐに人集りができる｡



「おはよ〜今日ちょっと遅かったね？」

『おはよう。そうかな？同じ時間に出たつもりなんだけど…』

「おはよ！Aちゃん！ここ分かんなくてさー…教えてくんない？」

『あ、いいよ！ここはね…』



同じクラスだけど、誰が誰だか分からない。
ま、興味無いし覚える気もないけど。

てか、準備くらいさせてやれよ……
来てすぐ囲まれる気持ちにもなれって。





人が捌けても、古賀さんは背筋を伸ばした綺麗な姿勢を崩さない。

ほんと、大変そー……



国見「…ねぇ」



俺は無意識に口を開いていた。

古賀さんはこちらを向いて首を傾げる。



『なに？』

国見「…………………A」



気づけばそう呟いていた。
金田一への対抗心か…嫉妬心か……

チラリと古賀さんの方を向けば、古賀さんは勢いよく椅子から立ち上がった。
そして俺の腕を掴み、何処かへと歩き出した。

途中担任とすれ違って「どうしたんだ」と声をかけられたが、古賀さんはどういうことか「保健室に行ってきます」とだけ言ってまた歩き出した。



国見「ちょ、保健室って……」

『国見くん、熱あるよ』

国見「…は？」



確かに朝怠かったけど今はマシになったし、
顔が熱い気がする…けど、それはまぁ…うん。



『…無理せんとよってゆったやん』

国見「無理してないし」



古賀さん色々勘違いしてる、よな？
俺熱ないし、無理もしてない……









保健室に着いたはいいが先生が居なかったため､
古賀さんに半強制的に体温を測らされた。

保健室に機械音が鳴り響く。
表示された数字を見れば……



国見「……うん、熱無いね」

『いや、あるよ！？』



表示された数字は37.9。
まぁ、うん。

いや…………なんで熱あるって分かったの？



『このまま座っとく？それとも、寝る？私は寝た方が良いと思うんやけど……楽な状態でいーよ』

国見「………寝る」



ベットに横になると「ちょっと待っとってね」
と言って古賀さんが保健室から出てってしまった。

足音がどんどん遠ざかって行く。
何故か心細くて古賀さんの名前を何度か呼んでみるも、虚しさしか残らなかった。

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