【pkmn】冠雪原の彼女と僕 3 【デント】 (ページ16)

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第百二話　危機一髪！ページ16

No SIDE

『凄いな…これ』

翌日、Aはデントたちを探して
まだ森の中をさまよって歩いていると

これまた見事に断崖絶壁に遭遇した

下は流れの強い川

泳げないAが落ちれば
ただではすまない事だろう

『…危ないし、さっさと離れて他探すか』

危険を感じ離れようとすると
断崖絶壁の川を挟んで向こう側の岸から

何かが走ってくるのが見えて足が止まった

『…なんだ、あれ』

最初は小さくてよく分からなかったが
近づくにつれて、姿がハッキリと見えてくる

『シキジカ…？』

走ってくるのシキジカの首に何かが巻き付き
後ろでピョコピョコと小さい何かが跳ねていた

シキジカの動きもどこか苦しそう

『…！あれ、クルミルか！！』

そう

シキジカに巻き付いていたのはクルミルの糸、
そして糸の先にはクルミルがぶら下がっていたのだ

「クルミルー！！」

それが見えたその時
シキジカの後ろから見覚えのある声と人影が見えた

『いた…けどなんだよ、この状況…』

シキジカの後ろから追いかけるように
走ってくるのは探していたデントたちと
ヒウンジムのジムリーダー、アーティーだった

その様子で大体の事を察すると
Aはニダンギルを繰り出した

『ニダンギル、クルミルの糸を切ってあげて』

「ギギ！」

ニダンギルは崖を越えて
向こう側の岸へつくと
シキジカの方へと向かって飛んでいく

サトシ「あのニダンギルは！！」

デント「Aちゃん！！」

ニダンギルの姿を見て
すぐにAのポケモンだとわかると

デントの顔の表情が一気にパァアッと華やいだ

ニダンギルがシキジカに近寄ると
ユラユラと揺れる糸をスパッと切ると
シキジカの足は止まり

離れたクルミルを抱きかかえ
サトシの元へと飛んでいくと

嬉しそうにサトシの胸に飛び込んだ

「クルル！」

サトシ「クルミル！良かった！怪我はないか？」

「クルゥ」

サトシ「ありがとう！ニダンギル！」

「ギギ〜！」

サトシにお礼を言われ
嬉しそうにサトシの周りをぐるぐる回る

デント「に、ニダンギル！！

Aちゃんは？！」

「ギギッ」

ニダンギルが指差す方向を見ると
Aがこちらに手を振っていた

それを見るとデントはわなわなと震えて
喜ぶ姿は今にも崖を飛び越えそうな勢いだった

デント「Aちゃん！！」

『危機一髪…かな』

呼びかけるデントを見て
Aは安心したように笑った