灰色の華 3輪 ページ4
並盛山の麓にある、小さな喫茶店
そこの二階のひと部屋に、Aは現在住まわせてもらっている
｢万里子さーん、ただいまー｣
｢あらAちゃんおかえりなさい！そろそろオープンだから準備手伝ってちょうだい｣
｢ん、分かった。アタシは客席の掃除でもするわ｣
｢本当に助かるわぁ。毎日ありがとね｣
｢あーいや、まぁ住まわせてもらってるし、当たり前よ｣
両親の墓参りの後、宛もなくぶらぶらとしている時に見つけたこの喫茶店
母さんが残してくれたお金があるのでお昼だけ食べてどこかに泊まろうと思っていたら
ここのマスターの奥さん、万里子さんに思いの外深いところまで聞かれてしまって、その結果住まわせてもらうことになったのだ
｢万里子さん、これ、誰かの忘れ物？｣
｢あらあら？まぁ本当！たぶん沢田さんねぇ｣
｢沢田さんって、昨日来てた？｣
ふと思い出したのは、優しそうににこにこと笑う綺麗な人
自分に向かってとても優しく微笑んでくれた、聖母のような女性
大袈裟だと思われるかもしれないけど、本当に聖母のような人だった
｢これ、旦那さんから貰ったって嬉しそうに言ってた腕時計ねぇ…そうだ、家の場所教えるから行ってきてくれないかしら？私は行けないから…ね？お願いっ｣
｢分かったわ。大事なもんなら今頃困ってるだろうし｣
顔の前で手を合わせていた万里子さんは、安堵したように笑った
｢じゃあこれ地図！で、ここの印つけたところが沢田さんの家よ！｣
｢この赤い丸印かしら？｣
くるっと赤ペンで丸をして、万里子さんはアタシに地図を渡した
｢そうだわAちゃん！｣
｢なに？｣
｢Aちゃんを今二階に住まわせてる理由を沢田さんに話したらね？Aちゃんのお母様と知り合いだったみたいで、是非うちに住んで欲しいって言ってたのよぉ｣
｢、え…まさか承諾したの？万里子さん｣
｢ええ勿論！だってあなたのお母様の知り合いなのよ？私よりよっぽど適任だわ。Aちゃんがいなくなるのはちょっと寂しいけど、遊びに来てくれればいいもの！｣
ふわふわ、にこにこ
万里子さんは本当に嬉しそうに笑う
なんとなくアタシも嬉しくなって、少しだけ、口角を上げた
｢じゃあ、またね、万里子さん。早かったら今から行ってすぐ向こうに住むことになっちゃうだろうし｣
｢ええ。またね、Aちゃん。いつでも遊びに来ていいからね｣
いつの間にか万里子さんの隣に来ていた旦那さんと、手を振っていた
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歌鈴 - とっても面白いです！続き楽しみにしています!更新頑張って下さい! (2017年6月30日 15時) (
レス) id: d25512cbcd (このIDを非表示/違反報告)
猫宮ひなた(プロフ) - †天王星†さん» ありがとうございます!!頑張ります(；▽；) (2016年5月28日 8時) (レス) id: dff5f2388d (このIDを非表示/違反報告)
†天王星† - はじめまして†天王星†です!!この小説おもしろいですね♪灰崎成り代わりを見るのは初めてです!!続き、楽しみにしてますξ(っ’ヮ’c)ξ (2016年5月27日 20時) (レス) id: 99ae1f3f30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫宮ひなた | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepage1717/
作成日時：2016年5月25日 23時
