【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、23人目 ページ23

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彼は私に心を開かない。
彼だけは気付いてか否か
私の誘いには絶対に乗らない。

あざとさも、可愛さも彼の前では
全てが無意味で、彼に私が見えていないのは…。

…"誰かが自分を見ていないのではなく
誰かが別の人や物事しか見えていない"から


きっと彼は何か別の物を見てる。
あるいは人なのかもしれない。

それが何なのかは私にもわからないけれど

きっと私は、彼のように
何か一つを見つめるなんて出来ない。



「…」



小太郎さんが見えなくなってから
家の中に入る。電気の付いていない家に
なぜだか酷く虚しさを感じた。





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次の日、私は仕事が休みだった。
特に予定も無く家で過ごしていたけれど
やる事も無くて外に出た。

特に目的も無く江戸の町を歩く。
街を歩く人達は平和ボケした人ばかり
何とも反吐の出る光景で、見飽きた光景。
町に出ても疲れるだけだし家の中で
のんびりしていた方が良かっただろうか。



「あれ、Aさん?」


「…え?」



人が蔓延る町の中。誰かが
私の名前を読んだ気がした。
声の正体を見つけようと視線を泳がす。

見つけられずに視線を彷徨わせていると
今度は肩に手を置かれ、名を呼ばれた。



「Aさん、こっちです」



声は後ろからしていたらしい。
振り向くと私の肩から手を退かされ
目の前には二人の人物の姿。

普段通りの隊服を見に纏った
真選組の二人は、何故か手に
大量のマヨネーズの入った袋を持っていた。



「確か、山崎さんと…。
えっと斎藤さん、でしたっけ?」


「はい、合ってますよ。
町で会うなんて偶然ですね。
あ、これからデートとかですか?」



彼らの名前はどうやら合っていたらしい。
斎藤さんは何も話さずに山崎さんは
世間話の常套句を初めに
からかうような話し方で言葉を発した。

私は少し迷ってから言葉を選ぶ。



「ふふっ…一人寂しく暇を潰してました」


「ええ、Aさんって
真選組じゃ凄くモテるんだから
デート相手の一人や二人居るでしょ!」


「そんな事ないですよ?…恋人とか居ないですし
…あー、誰かデートしてくれないかなぁ」



わざと言った。
わざと縋るように山崎さんを見ると
彼は迷ったように目線を逸らした。

目線はそのまま斎藤さんに向けられる。
私もつられて斎藤さんを見ると
思わず驚いて目を見開いた。

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