異世界人と万事屋４【銀魂】

死んで解放されても、死んで失うものがある ページ36

〜竜胆side〜


「この装置は、長年の研究の集大成とも言える、叡智を結集させた革命的な装置なのだ。
正式名称は並行時空接続機、我々はテレスタクションと呼んでいる。」


男の聞き慣れない言葉が頭に残る。


「テレス....タクション........」


「そう、その名の通り、この装置は数多の並行世界とこの世界を繋げる扉だ。
まずはこの世界の鍵となるお前を左のカプセルに入れ、別の並行世界で生きる同じ姿形をしたもう一人のお前をこのもう一つのカプセルに呼び出す。これが今日行う第一段階の記念すべき初実験だ。
この装置は高エネルギー体を大量に使うのだが、お前のおかげで予定より早く進められるのだ。」


「並行世界の、もう一人の私を....そんな、馬鹿げた話、あるわけ」


「あるかないか、お前が決めることではない。それを確かめるために今から実験するんだ。」


私の言葉を遮り、男はカプセルの外から睨みつけた。


「それにしても、彼らはいい起爆剤になったようで良かった。」


続けてもう一人の研究員が口を開いた。

その言葉を私は聞き捨てなかった。



「起爆剤だと？！ふざけるな！！！

あんな残酷な事実を聞くくらいだったら、


後100年実験を受けた方がマシだった..............」


カプセルの透明な壁を無意味に殴り、意気消沈して項垂れた。


「もう高エネルギー体はいらんのだぞ、無駄に憤慨して体力を消耗するな。さあ、始めよう。」


「血も涙もないんだな......狂ってる..........」


奥歯をかみ締め、無力な自分に心底失望する。




「因みにこれは我々にとっても初めての実験だから、何があるかわからん。まあ予測だが、今までの実験の三倍の苦痛を味わうことになるだろう。」



ふと思い出したように、そんな軽く言うべきではない恐ろしい言葉を口にした研究員。



(あぁ......今度こそ本当に危ないかもしれない.....






私今度こそ死ぬんだ、









死ぬ？









死ぬの？








死んだら、誰があいつらに天誅を下すの？








死んだら、先生の記憶はどうなるの？







ダメ、ダメだ、私、こんな所で死ねない......







復讐できなくなるのはまだしも、






松陽先生の記憶を失うのは、


それは、)




「絶対に嫌だ、」



短く声にしたその瞬間、遂にその実験は始まり、カプセル内が眩い光に包まれた。



その眩さに目を固くつぶっていると、体に高電圧が流れ込んだように激しい衝動が駆け抜け、断末魔の如く叫喚した。

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