心残りというものは一体何トンあることやら ページ30
〜竜胆side〜
「さぁ、入りたまえ。」
そう言われて連れてこられたのは、巨大な機械が立ち並ぶメカニックな広い空間だった。
チカチカとあらゆる場所から人工的な光が点滅する。
空間の中心部には一つの台が置かれてあり、複雑な機械がそこを囲んでいた。
医療で使うような円盤型の大きい照明が、一人取り乗せるには丁度いい台を照らす。
ああ、嫌な予感が.....
「こ、ここは...」
乾いた喉からやっと声を出す。
すると私の前にグアルが立ちはだかり口を開いた。
「改めて自己紹介しよう。私はグアル。宇宙極秘研究組織『霄』の被検体を収集する仕事をしている。」
今までのどんな顔より卑しく下劣に笑い、潤んだ眼球に呆然とした私の人影を映した。
「ひ、被検体....って、うそ、うそ、」
霧の中から姿を現した地獄の入口に、私は肩を震わせる。
たらりと冷や汗が背中を伝うのを感じる。
「連れてきたか、まあ、前回よりは健康そうだ。」
新しい声がする方へ視線を移すと、白衣を着た人間らしき男達がどこからかわらわらと歩み寄ってきた。
すると、私を品定めするかのような目付きで見回し、あげく腕や首などを触診する医者のような手つきで触り始めた。
「な、なに、やめて!どういうこと!!グアル!!」
必死で状況を把握しようと問いかける私に、グアルは淡々と話す。
「君はこの研究室の被検体になったというわけだよ。今丁度ね、女の地球人の被検体が不足していたんだ。前連れてきた女は実験での高エネルギーに耐え切れずすぐくたばってしまってね。」
わざとらしくため息をつくグアルに恐る恐る訊ねる。
「くたばったって....死んだってこと...?」
「そうだよ。君は、んー、13人目の被検体かな。今やってる実験は少し難しいものでね、それまで耐えてきた屈強な被検体も全てダメになってしまった。
まあ、君に期待はしていないが、被検体がないんじゃ実験すら始まらないから。」
非人道的な言葉に頭を縛られ、息をするのも忘れそうなほど呆然とした。
(ああ、そうか、私これで終わりなんだ、
ここで死ぬんだ、
実験に使われて死ぬんだ、
ああ、短い人生だったな
こんな所で人知れず死ぬなら、
言えばよかった、
松陽先生に
愛してるって言えばよかった)
その時私が零した涙は、死への恐怖ではなく、
愛する人に想いを伝えておけばよかったという、
後悔の涙だった。
それは、天秤にかけるまでもない事だった→←言葉と行動が矛盾する奴には気をつけろ
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時