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言葉と行動が矛盾する奴には気をつけろ ページ29

〜竜胆side〜


「嘘...」


「話しによると、君を人質にとったと脅しても吉田松陽は直ぐには捕まらなかったそうだ。
1ヶ月程度己の力で君を取り戻そうとしたらしいが、それを奴らが許すわけがない。実力行使にまで至ったんだと。」


「じ、実力行使って何を.....」


鼓動が早まり、じわりと汗が滲み出る。



「松下村塾に放火して、吉田松陽の弟子とかいう子供を人質にかけてようやく捕まったそうだ。」



「ほ、ほう........か........?」



言葉の意味を理解した途端、怒りが爆発して鉄格子越しにグアルの胸ぐらを掴んだ。



「松下村塾は!!!先生は!!!皆は!!!」


「松下村塾は全焼したそうだ。吉田松陽は奴らが人質にとったままだ。他は私も知らないが、手は出してないだろう。」



「奴らって誰!!」



「初めてここに来た日を覚えているかい?隣に一人いただろう、あの男が率いる奈落という集団のことだ。」


一通り理解出来て私は呆然とした。




先生は捕まってしまった....




皆は今何してるの.....





私は....





「私は、どうなるの....」


蚊の鳴くような声で尋ねると、グアルは下卑た笑みを浮かべて頷いた。



「そうさ、君はね、もう用済みなんだ。なんたって吉田松陽を人質にとるための人質として君を拉致したんだからね。でもそれは奈落にとっては、という話だ。

最初から奈落は人質として用がなくなれば、私に君を委託するという約束をしていたんだ。

今日から奈落の人質としてではなく、私の奴 隷としてここにいるんだよ。」



甘かった。




甘かったのだ。




この1ヶ月、食べ物を与えてくれる時間になると、話すことが多くなって、それとなく馴染んでいた。





性根が腐っていることを決して忘れてはいけなかった。





(そうだ、コイツは....コイツらは........そういう奴らだった。)




込み上がる後悔と憎しみが体を蝕み、恐怖に言葉を失った。



そんな私を見てグアルは卑しく笑い、部下らしき他の天人を呼ぶと私を牢から出した。



よろめきながら連れて行かれるがままに歩いた。





(奈落の人質から解放されても、天人の奴 隷として拘束されるなんて、





どうしてこういつもいつも私は不運なの。





銀ちゃん....も、きっと来れない、





先生を人質に取られてるんだから....)





一筋の光も見いだせないまま考える事も放棄した私は、



こうして戦慄さえ覚える底無しの暗闇へと足を踏み入れることになった。

心残りというものは一体何トンあることやら→←慣れほど恐ろしい能力はない



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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時

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