まだ一難去ってもないのにまた一難 ページ34
今にも途絶えそうな意識を何とか保ちつつ、
人の目お構い無しに病院へ直行する銀さんの背中で項垂れる私。
(.....死ぬ.....貧血....死ぬ....痛い....)
指先から血が滴るのを感じる。
銀さんもさっきから同じペースで歩くけれど、あれからずっとおぶったままだから、少なからず疲れているだろう。
しかし彼は足を一度たりとも止めることなく、人混みをもかき分けて進む。
「...ぎ...さ...ぎん......さん...」
私はか細い声で弱音を吐く代わりに彼の名前を呟いた。
そうでもしなければ本当に意識が飛びそうだった。
ふと、銀さんの歩みが止まり、滴る血が同じ場所を何度も落ちて弾く。
「ナイスタイミングだな、神楽──!!新八──!!」
聞き覚えのある名前を叫び、再び歩み出す銀さん。
「銀ちゃ─────ん!!!」
「銀さ────ん!!!」
二人の必死に呼ぶ声を耳にして、私はおもむろに顔を上げ、彼らの姿を確認した。
目が霞んでよくわからないが、全速力で私達の方に駆け寄ってきているようだ。
「早く来いバカヤロ──!!こいつまた血を吐いて...」
銀さんが言い終わる前に二人の大音声が被せる。
「そいつから離れるアル銀ちゃ───ん!!!」
「銀さんその人危険です!!離れて下さい!!!」
ようやく顔が分かるほどに近づいてきた二人は、血だらけになり、服も顔も傷だらけの酷い姿をしていた。
そして二人が私を睨むような形相で、迫っている事に気付く。
「ハァ??!誰から離れろだって?!!」
私と同様に理解ができなかった銀さんが、声を張り上げて聞き返す。
二人は息を切らしながら一定の距離を取って立ち止まる。
「やっぱり!!何やってるアルか銀ちゃん!!!早くそいつを離すアル!!!」
すごい剣幕で激昴する神楽ちゃんが、荒々しく叫ぶ。
通行人が私達を輪になって囲み、ざわつき始めた。
(そいつって.....................もしかして、私?)
私の心が、パキン、と割れる音がした。
目の前が急に色を失っていく。
「何怒ってんだよお前ら、とりあえず落ち着け。
俺がAにこんなことするわけねぇだろ、あの夜みたいな事がまた起こって....
つーかお前らこそどうしたんだ、ひでぇ怪我だな。」
銀さんの声が深刻なものになった。
「オイA、銀ちゃんをどうするつもりアルか。」
あの無邪気な少女からは想像もつかないような強圧的な声が、私の耳に、否、心臓に突き刺さった。
試食コーナーの試食品全部食べるのって何罪に問われるんですか→←漫画の登場人物達は大怪我しといて、よくもそんなに喋れるなっていつも感心する
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のと丸(プロフ) - 餅みそさん» ありがとうございます!!更新頑張ります(●´▽`●) (2019年7月30日 12時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
餅みそ - こういう話し好きです!続き楽しみにしてます。更新頑張ってください (2019年7月29日 19時) (レス) id: bfc2e3a90c (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - MIRAIさん» コメントありがとうございます!!読者様にワクワクできるよう話を練っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです!!(´>ω<`)これからまたどんどんストーリーが展開していくので、どうぞ最後まで楽しんでって下さい!! (2019年7月26日 5時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
MIRAI - 先がわからなくってドキドキしながら読んでます!とっても面白いです。頑張ってください!! (2019年7月26日 3時) (レス) id: c6a480e818 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - 金持ちのボンボンになりたいさん» コメントありがとうございます!!ミステリー!そう言って下さるとは思いませんでした!(*^^*)これからもどうぞ楽しんでいって下さい!! (2019年7月25日 14時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月18日 20時