北極と南極のどちらも寒いんだし天国と地獄の内情も実質一緒なはず ページ10
「結局戻ってきたアルな」
「・・・ハイ」
万事屋に入ると、玄関に立っていたのは神楽ちゃん。
そんなことだろうと思った、と言わんばかりの視線を私に向けて。
「もしかしてお前、神楽にも止められたの?」
「・・・まぁ」
まだ14歳の少女の言葉を蔑ろにしてこの有り様だ、完全に私が悪い。
「Aはともかく、銀ちゃんも悪いアル。ちゃんと約束の時間に戻れヨ。こんな時間まで待たせて最低アル。」
「・・・すんませんでした」
世話のかかる年上2人に呆れた目をして、神楽ちゃんは再び寝床へと戻っていった。
「・・・しっかりした子で何より」
「・・・そうだな」
玄関から中へと進むと、僅か数分ぶりの景色。
違うのは、今は家主が居るということだろうか。
神楽ちゃんの言う通り、約束の時間に戻らなかったのは銀時だ。でも心配されることだって想像の上で、それでも帰宅しようとしたのは私。
「ごめん、心配かけるようなことして」
「いや。俺の方こそ遅くなって悪かった。」
私は彼にとって護るべき存在なのだと、そんな実感をするのは初めてではない。
一般的な恋人なら『男が女を護る』考えが当たり前なのだろう。あくまでも
「・・・ねぇ」
ほんの少しだけ、言ってはいけない気がした。
言ってしまったら、もうそれは取り消せないのだから。
「いつか私にも護らせてくれる?」
「は?」
「今の私は護られてばっかり。前にさ、新八くんも神楽ちゃんも地の果てまで追ってくるタイプで、私も似たようなもんだって言ってたけど・・・」
2人は確かに、銀時の背中をどこまでも追っていくんだろう。多分その道すがら、彼の背中を護りながら進むのだと思う。
だけど私は誰かを護れるほど強くない。
銀時に追い付いて足手まといになるか──そもそも追うことは許されるんだろうか。
「本当は地獄にだって連れて行ってほしい。私にだって少しは護らせてほしい。そりゃ今はまだ・・・甘ちゃん、だけど・・・」
「やめとけ」
今まで聞いた中で、1番冷たい声だと思った。
「囮役引き受けて危ない目にあったとき、どう思った」
「そりゃあ・・・怖かった」
「だろうな、それが普通だ。わざわざその普通を捨てることはねェんだよ。」
その拒絶が想定していたよりずっと重くて。
言わなきゃ良かった・・・。
遅い後悔。
全てを理解できないのは仕方ない諦めよう、なんて。決めたなら貫き通すべきだったんだ。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時