ヒント ページ5
｢ちょっとその写真貸せ！｣
私の名前に思うところのあったらしい万事屋の面々。
残念ながら私には全く付いていけていないのだが、ヒントになるのならなんだって構わない。
渡した写真を囲んで、何やら会議が始まってしまった。
｢よく見たらこれ前髪Ｖ字じゃね？｣
｢顔もそうにしか見えなくなってしまったヨ｣
｢そんなことってあるんですか･･･｣
｢いやでもこんな小さい時から前髪Ｖ字はねェだろ･･･｣
｢でもこの時からマヨネーズ好きそうな顔してるアル｣
｢どんな顔だ!?｣
所々聞こえる会話は、意味の分からない単語が並ぶ。
前髪Ｖ字だのマヨネーズだの、本当にヒントになるのだろうか。
｢あのー坂田さん？｣
｢ちょっと黙ってろ！頭を整理してんだよ！｣
･･････黙ってろ？
前金3000円とはいえ、こっちは客だぞ。
｢･･･おい｣
｢だから黙ってろって！｣
後ろから銀色の髪を鷲づかみ。
｢えﾞ｣
｢黙ってろじゃねぇよ。私は客だぞ？内輪でコソコソしてねぇで、さっさと思い当たることを教えやがれ！出来ねぇなら腹切れ！｣
･･･やってしまった、と思った時にはもう遅い。
昔からこうだ。キレると極端に言動が乱暴になって。
これは依頼を断られるな、と覚悟していたのに、反応は予想外のものだった。
｢完全に兄妹アル｣
｢兄妹ですね｣
｢よし行くぞ〜｣
踵を返して、スタスタと歩いて行く坂田さんたち。
その行動が不可解で、立ち尽くしたままの私。
｢おい何してんだ、行くぞ。｣
｢えっ･･･あの･･･私･･･｣
｢安心しろや。大事な髪を鷲づかみにされた慰謝料も、テメェの兄貴に請求するから。｣
｢本当に申し訳ありませんでした･･･｣
黙っていろと言われたのは確かに腹が立ったけれど、いきなり髪を鷲づかみはやりすぎた。
慰謝料という言葉に反論できないくらいには、私が悪い。
｢あの、何か思い当たることが？ただ名乗っただけですけど･･･。｣
｢その苗字と写真、なんならさっきのキレ方も。多分俺たちが想像してる野郎で合ってる。｣
｢･･･そうですか｣
完全に納得は出来ないが、坂田さんだけではなく、従業員らしき2人までもが迷いなく歩いて行くのを見て頷くしかなかった。
これで違ったとしても、また改めて探してもらうまで。
今の時点で全てを説明してもらわなくとも良いのだ。
最初の『可能性』を前に、私は自分の鼓動が早まるのを感じていた。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます！ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (
レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ξεグリムэЗ | 作成日時：2018年5月15日 5時
