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紫煙 ページ28

「口挟むっつーか、純粋に疑問なんだけど。お前、いきなりどうしたの?」


そう言って万事屋が視線を向けたのは、私ではなく十四郎。


「は?どういう意味だ?」

「お前ぶっちゃけ今まで、そこまでコイツのこと気にしてなかっただろ。それが「屯所に近いから安心」なんて発言ときた。どんな心境の変化だって聞いてんだよ。」


・・・確かに。
ホテルの前で会ったときは、仕事の延長で私の様子を見に来たものと思っていたわけだが、それは本人に否定された。
さすがの私も、まさか仕事の延長でここまで好条件の物件を紹介してくれるとは思わないし。


「あー・・・まあなんだ・・・俺としても確証が取れた以上、これまで通りの接し方ってのもな・・・。」

「確証?何それ?」


首をかしげた私に、十四郎は気まずそうに説明を始める。


「土方の家に宛てて手紙を出した。お前のことを聞くためだ。」

「・・・なるほど。」

「誤解するな。お前の話を信じてなかったわけじゃねェ。」

「分かってるよ。最初に屯所に行ったときも、土方って名乗ったら十四郎に近づくためだと思われたし。なんていうか・・・なんとなくだけど、疑いの目を持つべき(そういう)職業だってのは分かってるつもり。」

「・・・すまねェな。」


タバコを取り出した十四郎が私にも無言で勧めてきたそれを、こちらも黙って受け取った。


「なんで謝るの?」


理由を追求する私と十四郎の間にタバコ2本分の紫煙が漂って、それがまるで私たちを隔てる壁にも思える。


「確証が得られたからって会いに来て、それも元は部下のせいだってのに物件紹介を口実にしてんだぞ。自分勝手な話だろ。」

「どんな口実だろうが嬉しいよ。有り難く高そうな物件たちを吟味して選ばせていただく。」


イタズラに笑った私に、呆れたようにタバコの煙を吐き出した十四郎。
その瞬間、私たちが『世話のかかる妹に困る兄』でしかなかったのは気のせいではないはず。


「・・・なんだよ、めでたしめでたしってか?」

「万事屋は何を求めてたわけ?」

「もっとこう泥沼化する感じを」

「相変わらずですね。そろそろその最低な性格に終止符を打ったらどうです?」

「A、そりゃ死亡勧告と同義だぞ。」

「誰が死ななきゃ直らねェ性格だって!?」

「自覚があって何よりです。」

「ふざけんな!兄妹揃ってムカつくなテメェら!」


そんな言い争いの中、いつの間にか2本のタバコは灰皿にあって。

紫煙はもう、消えていた──。

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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時

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