2人分の睨み ページ27
･･･おかしい、完全に状況がおかしい。
沖田さんから空室情報を得たあの日。十四郎が払ってくれるし、なんて部屋のタイプも料金も気にせず決めた部屋は、そこそこ広い快適な部屋。
もちろんかつての自宅アパートに比べれば、慣れないし落ち着かないけれど。
ベッドに腰掛ける私と、その横にあるソファーには十四郎。
そして何故か、ドレッサーに付属の椅子に万事屋。
･･･いやなんでェェェェェ!?
確かに、ホテル前で涙が溢れてしまった私の意識を誤魔化してくれたことには感謝しよう。
あのままでは感情のままに十四郎にぶつかり、さらに困らせていたかもしれないから。
･･･え、ていうか何、さっきまで万事屋で話してたと思うんだけど。
忘れ物･･･ってわけじゃなさそうだし･･･追いかけてきたの？
｢万事屋ってもしかして本格的に私のストーカー始めました？｣
｢冷やし中華始めましたみたいな響きで何とんでもない誤解してんだ｣
｢じゃあ何故？｣
｢万事屋出ていくお前が随分思い悩んでるみてェで心配だからって、ガキ共に後追わされたんだよ。途中でヅ･･･じゃなくて宇宙キャプテンやってる知り合いに呼び止められて、結局あのタイミングになった。｣
｢･･･宇宙キャプテン？｣
｢そこ触れちゃう？｣
｢･･･良いです、どうせ万事屋の知り合いにまともなのいないし。｣
というか、十四郎が万事屋に向ける視線が一瞬警察のそれだったし。
なんだか深く聞いたら面倒そうだとは理解した。
｢俺のことより、お前こそ何してんの？｣
｢･･･これを持ってきただけだ｣
そう言って十四郎から渡されたのは、物件情報の載った数枚の書類。
どれも立地や安全面に重点を置いた良物件で、無職の私が1人で不動産屋に行っても紹介してもらえないだろうというレベルのもの。
｢ずっとホテル暮らしじゃ落ち着かねェだろ。好きなの選べ。どれも屯所から近いから、俺としても安心できる。｣
｢いやいやいや！絶対高いじゃん！｣
｢このホテルの値段も確かめずに即決した奴が、今さら何言ってやがる｣
｢それは･･･｣
十四郎を家族だと認識していることを、自覚する前の話で。
まだ｢金銭的に頼りたい｣という感情だけで動いていたときの話で。
今の私は金銭的なことより、家族として認めてもらいたいだけ。
｢･･･ちょっとまた口挟んで良い？｣
｢またアンタですか万事屋｣
｢またテメェか万事屋｣
2人分の睨み。
悪意はない。
･･･少なくとも私には。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます！ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (
レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ξεグリムэЗ | 作成日時：2018年5月15日 5時
