お金 ページ3
「・・・さすがに無理アル」
「お願いします、そこをなんとか!」
現在私は、大きな犬──定春という名前らしい、の散歩を終えて戻ってきた坂田銀時と名乗る万事屋トップと向き合っている。
その隣にはチャイナ服らしきものを身につけた少女。
「なんとかって言われてもな・・・。大体お前、3000円で依頼って・・・。」
「ですから私の探し人は公務員らしいんです!お金ならそれでなんとかしますので!」
「にしても情報が少なすぎるヨ。この写真と公務員らしい、なんて曖昧なものばっかりじゃ無理アル。」
そう、私が持つ探し人の情報は以下の通り。
・男性であること
・私の腹違いの兄、らしい
・公務員、らしい
・彼の幼少期の写真1枚
名前も知らない。
確かに少なすぎる情報ではあるが、どうにかして見つけ出さなければ。
「私の働く居酒屋で万事屋のことを耳にしたんです。あなたは顔が広いと聞いたので、人探しにはうってつけかと思いまして。」
「・・・しらみつぶしに当たれって言いたいのか」
「無理は承知の上です。お願いします。」
依頼を受けてくれそうにない雰囲気に、ほとんどヤケクソ気味に最終手段に出る。
「この通りです!」
必殺、土下座。
「おいおいマジかよ。・・・ったく・・・あーもう頭上げろ。」
「依頼を受けてくださるまでは上げません」
「分かったよ!受けりゃ良いんだろ!?その代わり、見つけたらその兄貴からたっぷり報酬はいただくからな!」
「よろしくお願いします!」
報酬が人任せだって?
そんなことは知らない。
私の全財産3000円は、前払いとして既に手元を離れることが決定した。
となれば腹違いの兄を見つけ出して、頼むしかない。
そもそも私がどうして兄を探そうと思い立ったのか。
お金。
この一言に尽きる。
「明日から知り合いに声は掛けてみるけどよ・・・名前も分からねェんだ。あんまり期待すんなよ。」
「大丈夫です。見つからなければ私の人生が終わるだけですので。」
つまりこの地球上に影響は何もない。
私の肉体が滅びるだけで、時間は何事もなく過ぎ去って行くのだから。
「なんでそんな顔されてるんですか?」
「いや・・・別に。」
どうやら気分を害すようなことを言ってしまったらしいのだが、坂田さんはもちろん、隣の少女から何を言われるでもなく。
「銀ちゃん、なんかコイツ・・・ヤバいアル。」
依頼を受けてもらえたことに歓喜する私の脳には、少女の小さな声など届いてこなかった。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時