破壊 ページ15
たくさんの野次馬を押し退けて、何が起きたのか確認できる位置を目指す。
「・・・うわっ」
視界が大きく傾いて、転ぶのを覚悟したその瞬間──。
「危ねぇな、酔っ払いが。」
心底面倒そうな口調と、呆れたような顔。
「誰が酔っ払いですか!・・・・・・ありがとうございます。」
どちらかといえば万事屋の方が酔っているはずなのに。
・・・男の人、って感じだったな。
手首に触れた大きな手も、引き戻されたときの力も。
こんな思考になってしまっている時点で、やはりまだ完全に酔いが醒めていないらしい。
「あれ、旦那じゃねェですかィ。女連れて朝帰りとは驚きでさァ。」
万事屋に声をかけてきた茶髪の少年。
私は初めて見た顔だが、十四郎と同じ制服を着ていることから見て真選組の隊員なのだろう。
「違ェよ。俺にも女を選ぶ権利ぐらいあるから。」
・・・なんだろう、貶された気がする。絶対貶されたよね今の。
「待ち伏せしてたのは万事屋でしょ?なんなら逮捕してもらえますか?」
真選組の彼に万事屋を差し出そうとすれば、ニヤリと黒い笑み。
まるで面白いことを見つけた子どものようで、それでいて雰囲気は危なげ。
関わらないに越したことは無さそうだ。
「まさか旦那もストーカーの仲間入りですかィ?」
「ふざけんな、テメェのところのゴリラと一緒にすんな!」
「・・・ていうか、このアパート私の家なんですけど。立ち入り禁止って・・・何かあったんですか?」
私が今1番知りたいのは自宅にいつ帰れるのか、いつ封筒の中身を拝めるのかということであって、万事屋がストーカー認定を受けようがどうでも良い。
「俺が破壊しやした。」
「はい?」
悪びれもせず言われたその一言。
「詳しい説明はこっちでするんで。」
理解が追い付く前に場所の移動を求められる。
その対応が淡々としていて、まるで『いつものこと』だと言わんばかり。
パトカーの前に移動すれば、数人の真選組隊員からの哀れみの目。
「土方さん、ここの住人でさァ」
「・・・は?お前・・・何してんだ」
慌ただしく仕事をする十四郎がそこにいるのは予想していたから、驚きはしなかった。
「その少年が言った通り。私ここの住人だし。」
「ここって・・・ここ?」
アパートを指差しながら顔を歪める十四郎。
黙って頷けば、ポン、と肩に手を置かれた。
「悪ィ。お前の家、コイツが破壊した。」
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時