第五十一幕 ページ5
こちらから気を逸らさせるために、Aに送ったピンチのメッセージ。
だが、彼女はそれとは真逆のことをした。
ゆらは、茂みや木をジッと見つめ、妖気の気配に研ぎ澄ます。
「言われてみれば……あっちからも感じるような?」
と、一歩を踏み出す。
その足音に、身を潜める妖怪たちは恐怖する。
「おい…!Aの奴、オレらが言ってることが伝わらなかったのか…!?」
ビクビクしながら妖怪同士で小声の会話を繰り広げる。
「解ってるに決まってるだろ!!
あいつはわざと陰陽師の意識をオレたちに向けたんだ!…こうやって妖怪を困らせるのが昔っから好きなんだよアイツは!
見たかよ、あのニヒルな笑いを!」
「ばっかじゃねぇの??馬鹿なのか?いや馬鹿だ、大馬鹿者だ!!」
「祟ってやる、呪い殺してやるぅ!!(泣)」
恨みつらみの声が止まらない妖怪を見て、Aは笑いが止まらなかった。
吹き出さないよう口を抑えて、何とか堪える。
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ああカナ…クク…何でもないよ。」
さすがに皆が可哀想だと感じ、お遊びはここまでにしようとゆらに声をかけようとした。
すると、部屋に居ないことに気付いたリクオがこちらに駆けつける。
「みんな!戻って妖怪の話しよーよ!
あ!!それよりゲームしようよ!!
古今東西妖怪でやる〜?「ダメだ」」
何とかして探索をやめさせたいリクオの想いは叶わず、清継に制止をかけられる。
リクオの緊張の糸は張り詰めたままだ。
横に立つAをキッと睨む。
「ちょっと姉ちゃん、何でみんなを行かせちゃったのさ…。」
「止めろとも言われてないもん。」
と、悪戯っぽく舌をだす姉にリクオは何も言えなくなった。
その後も、大浴場、仏間と家を巡回していったが収穫は得られず。
結局最初の居間に戻ってきた。
「特に…何もなかったね…。」
ゆらは本気でこの家に妖怪がいると思っていた。
リクオに対し失礼なことをしてしまったことに、ひどく落胆する一方。
リクオは探索が終わったことに安堵し、ゆっくりと茶を啜る。
(助かった…よかった…
みんなが空気読んでくれる奴らで)
ガラガラ
「おうリクオ、友達かい」
大妖怪の登場にリクオは漫才のような派手な転びかたをする。
なにせ、ゆらが話していた目的の妖怪そのものが現れてしまったのだから。
ぬらりひょんは皆にアメを配り、挨拶をしていってから居間を出ていった。
(ホントに気づかれてない…)
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桃子(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです!!忙しいと思いますが更新頑張ってください! (2021年5月15日 22時) (レス) id: f758fcdb57 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗 - とっても面白いです!色々忙がしいと思いますが、更新頑張って下さい!p(^-^)q (2020年8月6日 10時) (レス) id: 0b4aa008b9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます!とても励みになります( ;∀;)ノロマ更新ですが気長にお待ちいただければ幸いです。今日の夜に更新しますね! (2020年6月23日 12時) (レス) id: a8c312a3ba (このIDを非表示/違反報告)
みいら(プロフ) - とっっても面白いです!更新頑張って下さい!! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月28日 19時