第五十四幕 ページ8
ボスである金髪の鼠は鼻で嗤い、彼女を見下すような発言をする。
「ふん、ハッタリだな。
人間のテメェについて行く妖怪なんているかよ。
それとも可愛いペットの仔犬の話か?」
手下もそれに同調するように声を上げて笑い出す。
「大人しくしてりゃあ痛い目見なくて済むぜー。」
調子づいた鼠どもに、ゆらは冷笑を浮かべる。
「鼠ふぜいが…いきがるんちゃうわ。」
彼女の態度が導火線に火をつけた。
少し黙らせてやろうとボスの鼠が手下に指示を出す。
同時にゆらも動きだした。
言葉は理解できないが、何かの呪文を唱え、
懐から式神をだし、敵に向かって払い投げた。
日本人形の回に見せたものとは違い、今度の式神には名前が書かれていた。
「出番や、私の式神!!
『
すると、一枚の紙が獣へと変化をする。
その背中に名を刻まれ、銀色の毛並みが美しい大きな狼だった。
ゆらは狼に跨り、攻撃をする。
その大きさに驚いた鼠たちは、一瞬の怯みが命取りとなり貪狼に次々と足で踏み潰される。
「なんだあれ!?」
「怖い犬ってコイツのことかっ!!」
圧倒されていたのは、妖怪だけではない。
カナとAも妖怪と対等に渡り合うゆらに夢中になっていた。
(すごい…ソラよりも大きな式神。
ゆらちゃんて、こんなに強かったの?)
初めて見る陰陽師と妖怪の対決。
それは予想以上に激しく、血みどろなものだった。
Aはカナを自分に引き寄せ、怖い光景から目を逸させる。
「貪狼、あいつら鼠や。
食べてしもうて。」
顔色一つ変えず、式神に決定をくだす。
強力な式神を使役し、妖怪に対して容赦のないその冷酷さにAは陰陽師という存在を驚異的に感じた。
貪狼は主の命令に従い、生き残りの鼠に喰らい付いた。
鼠の断末魔が路地裏に反響する。
「式神を使ってやがる…術者だ!
陰陽師だ!それも…生半可じゃねぇぞぉ!!」
「聞いてねぇぞ!」
「旧鼠さん!この女一体っ…」
ゆらは一仕事をした貪狼を手懐ける。
「旧鼠か…仔猫を喰らう大ねずみの妖怪。
ヒトに化けてこんな路上にでるなんて…」
「こいつぁ三代目はそうとうな好きものだな…
そんな物騒なものはしまいなよ。」
旧鼠は人の皮を被り、ゆらに手を伸ばす。
「触るなネズミ!!」
ゆらはその手を思いっきり払い除けた。
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桃子(プロフ) - めっちゃ面白くて好きです!!忙しいと思いますが更新頑張ってください! (2021年5月15日 22時) (レス) id: f758fcdb57 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗 - とっても面白いです!色々忙がしいと思いますが、更新頑張って下さい!p(^-^)q (2020年8月6日 10時) (レス) id: 0b4aa008b9 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます!とても励みになります( ;∀;)ノロマ更新ですが気長にお待ちいただければ幸いです。今日の夜に更新しますね! (2020年6月23日 12時) (レス) id: a8c312a3ba (このIDを非表示/違反報告)
みいら(プロフ) - とっっても面白いです!更新頑張って下さい!! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月28日 19時