『___________________』【ぬら孫】 (ページ48)

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第四十五幕ページ48

解散後、浮世絵町駅で降りたメンバーは氷麗、リクオ、カナ、Aの四人であった。

そのうち二名の表情に、暗雲の影がかかっている。

「どうしたのカナちゃん…顔色悪いよ。」

「あんなにはっきりおばけ見ちゃったら普通落ち込むでしょ。トイレ行けない…」

彼女は幼少期から怖いものが嫌いだった。
Aは彼女を元気づけようとぴったりくっつき、猫なで声でスリスリする。

「カナが怖いって言うなら、私が夜這いしに行ってあげようか？♡」

「家に来てくれるのは嬉しいけど、お姉ちゃんその言葉の意味分かってる？
色々規制かかるから慎みなさい。

じゃあ次の日曜日にね。」

別れ際に約束をし、手を振って彼女を見届ける。
幼なじみであるカナだけには、事情があってリクオの家に居候していることを打ち明けた。

しかし、その事情も妖怪の存在も一切話していない。
それでも、彼女は理解をしてくれた。

また、彼女への隠し事が増えてしまったのだ。

「心苦しいものだね…。」

「仕方ないことだよ、カナちゃんは特にね…。」

「そんなことよりも若！
何であんな約束しちゃったんですか？」

約束というのは日曜日、清十字怪奇探偵団が奴良組本家に集合するというものだった。

清継の決めては、ご近所の噂によるおもむきのある家だからだそうだ。

リクオは人からの頼みごとを断れない質(たち)だった。

「大丈夫だよ…多分。
花開院さんに会えばみんな大人しくなるだろーし」

何を呑気なことを…と不安しか感じない氷麗の一方で、Aはとても楽しみにしていた。

わかりやすいくらいに顔を綻ばせる彼女に氷麗のアンテナがピシリと立つ。

「…あんたも止める気ないってことは何か企んでいるのね。馬鹿な考えはよしてちょーだい！！」

「いやいや、何もしないって！
だから冷気をしまってください…サムイ…。」

というやり取りをしていると、周囲がざわざわとし始める。
数メートル先で大量のバイクの激しい排気音とコールが鳴り響く。

「お、おい見ろ。
すげぇぞ…いまどき暴走族かよ…。」

と一人の男性がその方向に指を差し、煙たがる。

すると、目の前に立ったのは特攻服を身に纏った青田坊…いや、倉田君だった。

悪目立ちをする彼に対し、リクオは白目を向く。

「全然馴染んでないわね。」

「ちょ、倉田君！！
何それ…プフ」

「そんな笑うかよ…あ、若。
おつとめごくろーさんです。」

「アハハ！！敬語！！
こんなイカついのに…アハハハ！！」