『___________________』【ぬら孫】 (ページ47)

今日:38 hit、昨日:6 hit、合計:56,522 hit

第四十四幕　リクオ、清十字団結成に立ち会うページ47

どこからともなく、人型の紙吹雪が日本人形を目掛けて突進した。

日本人形の顔は破砕され、原型がとどめなくなっていた。

(あらら？あの子もしかして…)

「浮世絵町…やはりおった。

陰陽師、花開院ゆらの名において

妖怪(もののけ)よ。
あなたをこの世から滅死ます！！」

ゆらの手には先程放たれた紙人形があった。
これは陰陽師が妖を退治する手段として使役している〝式神〟という呪術の一つだ。

彼女は今、陰陽師の役目を全うした。
もう一仕事、戦闘不能となった人形に封印の札が貼られる。

清継を始め、その場の全員が非現実的な光景に圧倒された。

「陰陽師だって！？
け、花開院さん！？今、確かにあなたそう
言ったんだね！？」

「ゆらちゃんすごい！！
陰陽師少女とかレアだよ、レア！
かっちょいい！」

自論は間違っていなかったと感激する清継と初めて出会う陰陽師に興奮するA。

その温度さは激しく二人以外の者たちは呆然としている。

特に、その名を聞いて震え上がる一人の少女がいた。

「わ、若…逃げましょう。
一刻も早く…」

尋常じゃない怯えっぷりにリクオは言葉をつまらせ、安心させるように彼女の背中をさする。

氷麗はいまだにキャッキャと飛び跳ねるAの肩を鷲掴み、螺旋の瞳が彼女を捉える。

「あんた…どこで知ったかは知らないけど、その様子だと陰陽師が何なのかわかってるんでしょう？
あなたの大好きな妖怪が滅せられるのよ！？
何はしゃいでるのよ！」

他の人に会話の内容を聞かれぬよう、小声で話す。

「ごめんごめん、名前だけは聞いたことがあったけど実際に会ったことはなくてね。
周りが妖怪ばっかり(・・・・・・・・・)だったし、ついね。」

今度はAが氷麗に耳打ちをする。

「でも、今は大人しくしていた方がいいよ。
氷麗は妖気も上手く隠せてるし、問題ないと思う。
このタイミングで出ていく方が怪しまれる。」

ニシシと笑って氷麗の肩をぽんと叩いた。

その言動に多少の腹立だしさを感じた氷麗だが、彼女の言うことには一理ある。

氷麗は処刑台に立たされているような思いで時が過ぎるのを待った。

こうして、花開院ゆら(特別軍事顧問)も正式に清十字怪奇探偵団に加わり、始動した。