第四十二幕 ページ45
「でさぁ…今朝の姉ちゃんが優しかったんだよね…。」
「お姉ちゃんはいつも優しいよ?」
「そうなんだけど、そうじゃなくて…。」
放課後になり、廊下で会話をするリクオとカナ。
今日も三人で帰る約束をしていたため、先に合流し姉の教室へ向かうところだ。
リクオは今朝の出来事をカナに相談していた。
Aがやたらと気遣いがいいことに違和感を感じていたからだ。
普段からも他人のことをよく見ており、気配りができる人ではあるが今日のは過度が行き過ぎている。
水をとってきてくれるだけでなく、座る動作までも椅子を引いてくれたり、頭が痛いといえばポケットから薬が出てきたりとまるで介護をされている気分だ。
顎に手を当て、何が原因なのかを考えていると廊下の奥からるんるんとした声が響き渡る。
そこには、手を大きく振る姉の姿があった。
「リクオ〜カナ〜」
三年生の彼女が、一年生の階にいることが珍しく思うのか。
周囲の生徒から視線を浴びられていた。
「お姉ちゃん!」
「カナ〜早く会いたかったよ!
今日も学校頑張ったからご褒美のヨシヨシして♡」
どっちがお姉ちゃんかわからないくらい、甘い声をしてカナを溺愛するA。
毎度ながら思うが、彼女のスキンシップは激しい。
散らばるハートがこちらにまでダメージを与える勢いだ。
「おや?家長さんと奴良くん!!
丁度いいところに!!」
颯爽と聞こえてきた活発な声にAが反応した。
二人はしまったと言い、苦渋の表情をしてみせた。
Aは教室を覗き、清継と目が合う。
「君は誰かね?」
「私?私は三年生の飛田A。
二人のお姉ちゃんだよ!
いつも二人がお世話になってます♡」
二人を肩組みにし、自己紹介をするA。
清継はそんな気さくな彼女に親しみを感じ、受け入れる姿勢を持った。
「なんと、先輩じゃないか!
これは失敬。ボクの名前は清十字清継。
なんだか初めて会った気がしないねぇ。」
「やっぱり?
私もそう思うよ〜。」
どこかで会ったような…というよりも小学校が同じうえ、面識が無いわけではないが深くは考えずに握手を交わす。
「では、これからは敬愛の称としてお姉さんと呼ばせていただこう。
ところでお姉さん。
…妖怪にご興味は?」
「え!
もしかして君も…」
と、意気投合し始める二人。
リクオはハッとして、事の重大さに気がつく。
大の妖怪ファンである二人が揃ってしまったのだ。
(これってまずいことじゃ…)
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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月6日 16時