『___________________』【ぬら孫】 (ページ44)

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第四十一幕ページ44

朝日が昇り、襖の隙間から溢れた光で目が覚める。
リクオは布団を剥ぎ、一つ欠伸をしてから台の上にあった眼鏡をかけた。

学校だ、早く朝ごはんを済まさねば。

そんな使命感に駆られ、立ち上がろうとした時。

(イテテ、頭痛が…)

妙に頭が重い。
足もフラフラとしていて、上手く歩けない。

なんとか着替えることまでは出来た。
今度は姉が居るであろう部屋の襖の前に立つ。

いくら呼びかけても返事がないので、そっと襖を開けた。
中では寝巻き姿の姉がソラの上に覆いかぶさっており、まだ夢の中であった。

「えへへ～カナかわいいよ～。」

「うう…重い…。」

ソラはあまり気持ち良さそうな表情で眠れていない。
少し不憫に思ったリクオは、姉を起こす。

「姉ちゃん、姉ちゃん起きて。」

「ん……リクオ？
おはよー…。」

寝ぼけ眼を擦り、外を見る。
外の明るさが刺激となり、ようやく朝を迎えたのだと気づく。

「おはよ。
学校だから早く着替えて、朝ご飯食べよ！」

リクオの言葉を受け取り、軽く頷く。
Aはうつらうつらとしてい、彼が目の前にいるにも関わらず寝巻きの紐を解こうとした。

「待って！まだ脱いじゃだめ！
ボク、先に出て行ってるから後で居間に来てね？！」

慌てたリクオは目を瞑り、素早く襖を閉じた。
何となく予想はしていたが、彼女は朝に弱いらしい。
あのような姿を皆に晒しては大変だ。

リクオは毎朝誰よりも早く起こしに行こうと決めた。

・・・

「こ…これは？」

今、リクオの目の前には豪華に盛り付けられた舟盛りが置かれていた。

朝食にしては異彩を放つ料理に、箸が進まない。
烏天狗は意気揚々として、昨夜の出来事を皆に語り出した。

もちろん、リクオにその記憶はない。

「みんなおはよ～。
うわ、今日の朝食リクオのだけ豪華すぎない？！」

遅れてやってきたのはAだった。
舟盛りに目をつけ、欲に素直な彼女は涎がだらりと滴る。

「朝から宴会なんてカンベンしてよ。
姉ちゃん、台所でもう少し軽いものを貰おう。」

と、彼女の手を引いて部屋を退散する。

いずれも彼女は名残惜しそうに舟盛りを見ていた。
後ろから烏天狗がくどくどと何かを言っているが二人は無視を決め込む。

「ただでさえ…こっちは何故か(・・・)寝不足なんだから…」

リクオの呟きにギクリと反応するAは、目を泳がせた。

「リクオ、先に謝っとく。ごめんね。」

「え、なんで？」

「いや…ね？
ほら、私水取ってきてあげるよ。」