第三十四幕 ページ37
四人は迫力のある低い声に毛を逆立たせる。
ひょっとして見つかったのだろうか。
「死ねええい!このうつけがぁあ!!
いつの間にそんな軟弱になりおったー!!」
「うわあ誰か止めてー!」
騒動が騒動を巻き起こし、勢いよく開かれた襖。
そこから鴆と思しき毒羽根と何匹かの妖怪たちが出てきた。
「一体、中で何が…。」
「てか、盗み聞きしてるの私達だけじゃなかったね。」
「くそ!!オレは…オレは…
こんな奴のために生きているわけじゃないわー!!
ええい帰っ」
さらに、激しく咳き込む音がする。
少し気掛かりになってAは部屋の中に駆けつけた。
「鴆、大丈夫…「ゴボーーー!!」
ちょっとあんた今、私の顔を見て血反吐を吐いたでしょ!!」
「なんでテメェ…が、ゴホッ。」
大量の血を噴き出しながら、鴆は倒れた。
・・・
結局、鴆は部下に連れられ帰ってしまった。
____鴆。
その羽根を酒に浸せば五臓六腑が爛れて死に至る猛毒の鳥妖怪。
薬・毒薬を司る「鴆一派」の頭領。
どのような薬も経年によって猛毒に変わるように、鴆も生まれた時にはそれは美しい鳥だと言われている。
「やがて元服の頃、羽根が猛毒へと変わる。
だが反面、その特性のためか…
一族は大変体の弱い、いつ消えてもおかしくないはかなげで…弱い妖怪なのです。」
「へぇ…初めて知った。」
烏天狗から一通り瑩餃瓩箸いν轍を教えてもらう。
その説明で昔と今の彼に相違があったのも納得がいく。
「鴆様もなかなか本家に顔も出せず、今日は何故か…。」
思い詰めた表情をする烏天狗。
リクオは羽根を揺らして弄ぶ。
翮に触れると猛毒に罹るため、羽弁を持っている。
「てか、呼んだんだろ!!
じーちゃんが!!
鴆君を!!」
鴆からも説教をしてもらおうという魂胆があっさりバレて、総大将は舌打ちをする。
これは烏天狗にも知らされていない事情のようで、本人も驚愕していた。
「何考えてんだよ!!
鴆君は動いちゃいけない体だってのにひどいよ!」
リクオは身体の弱い鴆を無理矢理呼びつけたことに対し激怒する。
「ひどい?
フン、そう思うのならワシの奴良組…
やっぱお前にゃゆずれんわ」
総大将は不機嫌な様子で部屋を去った。
「リクオ様…昼の勉強も大事ですが、夜の勉強も怠らんで欲しいですな。」
妖怪は悪行をすることだけが存在意義ではない。
烏天狗は納豆小僧に『奴良組百鬼夜行画図』を持って来るよう命令した。
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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月6日 16時