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第二十七幕 ページ29

「みんなにも関係することだし…ここは残って話を聞いてもらいましょうよ」


「コゥラァァァアA!!!」

一難去ってはまた一難。
新たな乱入者が現れ、特定の人物の名を叫ぶ。

Aはゲッと顔を引きつらせ、リクオの後ろに隠れた。


((あいつどんだけ反感を持たれるんだよ))

その場にいた者全員の思考が一致した。
もはや人を怒らせる天才だ。

現れたのは目を血走ったソラだった。

屋敷の皆はあの妖怪は何だとよそ者を好奇の目で見る。

「ほう…あれが例の送り犬か。」

ぬらりひょんも興味津々でソラを凝視する。


「おまえはいつまで儂を待たせるんだ!
こちとら長旅の疲労故、空腹で死にそうだわ!!
用が済んだのならさっさと新しい住処に…」



「何言ってるのソラ…





ここが私達の新しい家だよ?」


ソラは言葉を失った。
そのまま焦げ茶色の毛が白く染まり、灰になるのではというくらいに硬直する。

奴良組の妖怪達も唖然としていた。
リクオも例外ではない。


「いやね、私達家出してきたんだよねー。
あ。でも親に居場所は伝えてあるし若菜さんから許可はもらってるよ?

あとは、この件を含めて総大将の許しが必要だったから話も長くなっちゃった。
問題なく許可を頂いたので今日からしばらく居候させていただきます!」


どうぞよろしくお願いしますと面々に頭をさげる。
それが家出と言えるのかは謎だが、初耳の情報に全員が仰天した。

ソラは自分に相談もせず、勝手な振る舞いをする主人に呆れるどころか怒りしか通らない。

ついに堪忍袋の緒がきれた。

爪や牙を向け、Aに襲いかかる。
だが、その前にはリクオがいたため結果的にリクオが押し倒されAは庭へ逃げた。

憤慨したソラの顔は獣の迫力が強く、リクオに死の予感をさせる。

「「若!?」」

「またんかA…
今からおまえの四肢をもいで噛み砕いてやる…」

「悪かったって!
でも、この話をしたらソラ反対するでしょ?」

「当たり前じゃーー!!」

庭で一方通行の戦闘が開始される。
驚くことに、犬…しかも、ただの犬ではなく妖怪の獣を相手にAは間一髪で逃げきれている。

幼い頃に悪戯を仕掛けられた者は、あのすばしっこい動きはこの妖怪に鍛えられた物だと分かった。

また、一番の被害者が彼であることが明らかになり、同情心を寄せる。


こうして、奴良組の屋敷は二人が加わったことでより一層賑やかになったのだ。

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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月6日 16時

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