『___________________』【ぬら孫】 (ページ26)

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第二十四幕　帰ってきたおてんば娘ページ26

まさか側近たちが今まで自分と同じ学校に通っていたとは予想外だった。
その真実を知ってリクオは肩を落とす。

カナがいるため烏天狗は先に帰り、気絶した島と清継は青田坊もとい倉田君が俵抱きにして持ち運ぶ。

「リクオ君、こんなところ早く出よう！」

カナはなかなかリクオから離れようとはしない。
二人の絶叫が聞こえてからは目を瞑っていたため、何が何なのか状況を理解できていなかった。

それは、リクオにとっては都合が良い。
妖怪なんていなかったよと言って、曖昧化させた。
氷麗はそんな二人のことをジト目で見る。

(そういえば…アレは何だったんだろう？)

あの妖怪の指から火がついた時のことだ。

恐らくあの妖怪が意図的に出したものではない。
本人もびっくりしていたからだ。

かと言って、突然火がつくような怪奇現象は妖怪の仕業に違いない。

青田坊がその性質の妖怪ではないことは把握している。

雪女に関しては論外だ。

「一体誰が…」

帰り道とは反対に、旧校舎の全体を眺める。
すると、屋上に一つの影がこちらを見ていることに気がつく。

リクオは眼鏡をかけているが、とても視力が良い。

だから、それ(・・)はリクオに強烈な印象を受けさせた。

ときがら茶色の髪色は膝に届くくらい長く、まるで糸のように細く艶やかだった。
それは月光を浴びることで更に輝きを増す。

そして黒い桔梗柄をした深緑の優美な着物と帯には鈴のついた赤い飾り紐。

素顔は見えず、般若の仮面を身につけていた。

その凛とした立ち姿にリクオの心は一瞬にして奪われた。

___________美しい。

見れば見るほど惹きこまれる。

月の逆光によりその曲線的な身体つきがシルエットとしてくっきりついている。

人間には到底出せないその存在感は、女性の妖だろうとリクオは思った。

「リクオ君？」

カナに肩を叩かれ我に返る。

「ご、ごめん！
カナちゃん家まで送るよ！」

最後に、屋上を一瞥した。
その時には忽然と消えており、あれは幻だったのではと錯覚させる。

それでも、リクオの脳内にはあの女性の姿が焼き付いて離れなかった。

・・・

「ただいま…」

玄関で尻餅をつくリクオ。
だが、その様子に目もくれず出迎えた小妖怪は落ち着きがなかった。

「若っ！若っ！」

「もう何？こっちは疲れて…」

「いいから来てくだせぇ！」

袖を強引に引っ張り、リクオを拉致する小妖怪。
取り残された氷麗と倉田はキョトンとした表情で顔を見合わせた。