『___________________』【ぬら孫】 (ページ23)

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第二十一幕ページ23

「だから…いるんだよね！妖怪は！」

教室がやたらと騒めいている。
道端で出会ったカナとともにリクオは教室を覗き込んだ。
教卓に誰かが立っており、人に囲まれている。
話を楽しそうに聞いていたクラスの女子に尋ねた。

「となりのクラスの清継くんの妖怪話よ。
休み時間利用して巡回してるらしいよー。」

妖怪というワードに敏感になるリクオ。
カナも信じられないという様子で話を聞いていた。

「ボクの『研究』によれば…
確かに、古来の伝統的な妖怪は姿を見えにくくしているかもしれない…
現在の背景に溶け込むことができないからだ。」

清継はサイトで調べ上げ導き出した答えを述べる。

「妖怪には世代交代がありいつの時代も我々の日常で悪事を働いている！！」

あまりにも的確な答えにリクオの心臓が縮こまる。
随分と昔とは違う意見にカナは呆れ果てた。

「ハハ…妖怪なんている訳ないじゃん。
学校でそんな話をしちゃったらバカに…」

「きっとそーすよ！！」

「清継様カッコイーー♡
お話は変でも許すー♡」

何と彼には支持者がいた。
自分が喋ったときは誰も賛成の声などなかったのに…
リクオは開いた口が塞がらない。

清継は教卓から離れスタスタとリクオの前に現れる。

「奴良君…昔はバカにして悪かったね。
ボクは目覚めたんだよ…あるお方(・・)によってね…」
四年前の崩落事故が起きた日。
妖怪に襲われ、窮地を救ってくださった若き闇の支配者のことを思い出す。
そのことを熱く語り出し、惚れたのだと言う。

あまつさえ、もう一度会いたいと願い彼を探しているのだとか。

リクオには記憶がない。
だが、心当たりがないわけでもない。
妖怪のことは絶対にバレるわけにはいかないと固く誓った。

その事件はカナも当事者だ。
何かを思い出し、その時の記憶を脳内に映像化させる。

「もしかして清継くん…噂の旧校舎も！？」

「ああ…行きたいと思っている。」

「旧校舎？」

何のことなのかわからないリクオに対し、金髪の少年。
島二郎が雑誌を持って解説する。
どうやら学校の怪談の一つに載せられるほど〝出る〟と有名のようだ。

実際に見せてやろうとリクオの腕を掴み、二人は屋上へと行ってしまった。

連れて行かれた幼なじみを他所に、カナは自分の席に着く。

そして、あの人とお姉ちゃんのやり取りを思い出す。

(もしかして知り合いなのかな…？)

あれから手紙を一通もよこさない姉。

いつまた会えるのだろうと窓の外を眺めた。