『___________________』【ぬら孫】 (ページ3)

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第二幕ページ3

「やっぱり若様と悪餓鬼か！！
今回もあんたの入れ知恵だなっ！」

「騙される方が悪いんだーい」

特攻隊長という名誉ある二人でも、子供たちの前ではおもちゃも同然であった。

特に、悪餓鬼と呼ばれたこの少女。
悪戯の常習犯で、いつもリクオや小妖怪と遊ぶときは彼女が作戦を練っている。

自由奔放な彼女の行動に奴良組の一員は振り回され、手を焼いていた。
今日も計画が上手く行ったことに満足し、見届けると子供たちはやいやいと逃げていく。

置き去りにされた三人の嘆きなど、誰の耳にも届かなかった。

・・・

「姉ちゃん！
今度はどんな仕掛けにする？」

今は縁側に座りながら二人で駄弁っている。
リクオが次に進もうと張り切るが、Aは制止をかける。

「今日はもう終わりにしよう。
じゃないと、また青にグリグリされる…」

「それもう遅いんじゃない？」

何度も仕置きを喰らっているのだろう。
会う度にこめかみを攻撃されるのを思い出すと、寒気がした。
それでも、彼女は悪戯をやめないのだから不思議である。

「そういえば、リクオ。
おじいちゃんとお昼ご飯を食べに行くんじゃなかったっけ？」

Aに言われて、ハッとするリクオ。

時刻は正午をまわろうとしている。
自分には予定があったことを思い出し、慌てて家に上がり込む。

その前にと何かを思い出したように足をとめ、後ろを振り返る。

「姉ちゃんも一緒に行こうよ！
ボク、姉ちゃんともお昼ご飯を食べたいよ」

なんともかわいいらしい発言である。
弟分のお願いに心が揺らぐも、彼女は首を横に振った。

「えー！また？
一度だってボクと外食してくれたことないじゃん！
門限もまだでしょ？」

不満の声をもらすリクオ。

「だって、お金ないもん。
それに、おじいちゃん無銭飲食をはたらいてるんでしょ？うちの親はこういうのに厳しくてね…」
と諭そうとするも、奥の廊下でリクオの母である若菜を見かけた瞬間、パッと表情を明るくした。

若菜が子供たちを見つけると、優しい声で呼びかける。

「リクオ、そろそろ出かけるそうよ。
Aちゃん、良かったらうちでご飯を食べて行かない？今日はハンバーグもあるのよ！」

「わーい、若菜さんのご飯だ♡」

足を弾ませながら、若菜の後ろについていく。
その背中に疑いの眼差しを向け、リクオは溜め息をはいた。

「人様の家で食べるのはいいのかよ…」

この物語は、少女が二つの世界を懸命に生きていく。
哀しくも愉快な怪奇譚である。