『___________________』【ぬら孫】 (ページ19)

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第十七幕ページ19

玄関から妖怪の総大将であるぬらりひょんが登場する。
リクオは泣き止み、祖父にどういうことなのかを問いただす。

ぬらりひょんの懐から一枚の手紙が出された。

それは便箋に包まれた手紙のような立派なものではない。
メモ書きのような小さな紙だった。

リクオは素早く受け取り、その内容に目を移す。
そこには、たった一言の文が書かれていた。

「もしお前さんのことが嫌いだというなら…
こんな言伝(ことづて)を残していかんと思うけどな」

リクオは再び涙した。

これ以上は泣かまいと、腕で目をゴシゴシ拭く。

「姉ちゃん…ボク、ずっと待ってるよ。
…この家で待ってるから」

____『また会いに行きます』

手に持っていたメモ用紙を大切に抱える。
いつか彼女がこの家に訪れる日を楽しみに…。

元のリクオに戻ったことに安心し、屋敷の皆に笑顔がはじける。

「そうですぜ若！！」

青田坊は意気揚々として後ろからリクオを抱えこみ、肩車をした。
突然の行為に仰天して、落ちそうになったところを青田坊の頭にガッチリ掴む。

「若がしょんぼりしてたら、Aだって悲しみますぜ。
オレたちはあいつを笑って迎えられるようにどっしり構えときゃあいいんですよ！
それに、いなくなった気がしませんしねえ」

「拙僧もそう感じます。
案外早く戻られて、ひょっこりと現れるやもしれませんぞ？」

何よりもその方が彼女らしい明るい考え方だった。
皆はあやつが帰って来たら何をしてやろうかという話題で持ちきりだ。

「さあ、そろそろ夕食の時間よ！
みんなも手伝って頂戴！」

縁側に立つ毛倡妓が張り切って呼びかける。

Aはここにいない。

しかし、彼女がいた頃と変わらない和気合いとした奴良組の雰囲気がそこにはあった。
視線が高くなると全体がよく見えて、余計にそう思える。

「ありがとう…みんな」

後日、リクオはカナに電話をかけた。
カナのところにも同じようなメモ用紙が置いてあったという。

彼女の声は少し枯れ気味で、たくさん泣いていたことを物語っている。

そして、Aについて気になる情報が明るみになる。

カナも同じように五年生の教室へ行き、別の人から行方を聞いていたそうだ。
そして、その男の子が〝妖怪ちゃん〟と呼んだのだ。

詳しく聞くと、彼女が一年生に成り上がった時。

リクオと同じように〝妖怪騒動〟を起こしたらしい。