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第十四幕 ページ16

ガゴゼはリクオの活躍により倒された。

綺麗に事が終わったと思えば、今度はリクオが倒れる。
まさか、傷をつけられたのでは…組みの皆が心配する。
木魚達磨が様子をみると「人間に戻っている…?」と言う。

「まさか…四分の一血を継いでるからって
一日の四分の一しか妖怪でいられない…とか…?」

さらに追い討ちをかけるようなことを喋り、奴良組のみんなは騒ぎ立てる。


それはかつて、Aが見てきた奴良組そのものだった。
どこまでもお騒がせで、賑やかな一家。

「ふふ…っふは!」

なんだか面白くて、つい笑みを溢す。
この街を離れる前にみんなに会えて良かった。

一目見て満足すると、羽織りを背負いながら反対方向へと歩を進める。
途中でカナが私に声をかけようとしたため、口元に人差し指を立て内緒にしてほしいことを伝えた。

「あっ!!そうだ、Aがいたんだわ」

氷麗がハッと気づいて、青田坊はAが座っていた場所に目を向ける。

「おい、A。
お前も屋敷に来て手当てを…」

振り返った時には、彼女の姿はなかった。


・・・

「おかえり」

最初の入り口に戻ると、ソラが待っていた。
ただいまと言ってソラの上に跨る。
そして、夜空に向かって一直線に飛びこんだ。

「ずっと隠れてたの?」

「ああ、百鬼夜行が突然現れたからな。
敵ならば、襲撃してやろうとしたが人間を助けていた…それよりなんだその羽織りは。」

自分に掛けた羽織りの裾を口元まで運び、愛おしそうに見詰める。


「ちょっと…ね。
それよりも早く母さんの所に帰らなきゃ。」

「ふん…儂は理解に苦しむ。
何が悲しくてあのような(むご)い母親の元に帰らなねばならないのだ。
お前がこの街を出ていく必要など毛頭ないというのに。」

「相手の男も兇悪な顔をしておった。
どうせ碌なことは起きんぞ。
……またお前の傷が増えるだけだ。」

そう言ったソラを一瞥する。
何を思い出しているのか。
毛が少し逆立っており、爪も出ている。
そして、微かに唸り声が聞こえその振動はAの身体に伝わってきた。

ソラは底知れぬ憤りを感じていた。

「わかってる。
それでも、今は耐えて欲しい。」

「耐える?これ以上堪えるものなど何もない!
幾度あの女の首を狙ったことか!
お前が拷問のような日々を送ってきたことをただ黙って見ている儂の身にもなれ!!
…これでは里にも顔向けできん。」


いてもたってもいられず、ソラの背中をギュッと抱きしめる。

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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月6日 16時

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