『___________________』【ぬら孫】 (ページ15)

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第十三幕ページ15

「許さない？
無力で非力な人間のお前に何ができる。
よし、先にお前から殺してやろう…」

ガゴゼがそう命じると、組みの者がジリジリと迫る。
後ろにいるカナたちは悲鳴を上げていた。

額に汗が滲み出る。
威勢よく前にでたからって自分に何ができる？
今度こそ、本当に死ぬかもしれない。

相棒のソラは外にいてこちらには来れない。
後ろには子供たちもいる。
彼女一つの命で事足りるわけがない。

(どうすればいいの…！？)

まさに絶対絶命。

刹那、その窮地をひっくり返す展開が起きた。
塞がれていたはずのトンネルに光りが差し込む。

「おほ…見つけましたぜ若ァ
生きてるみたいですぜー！」

唐突として溢れた光を遮るほどの影が続々と現れた。
その光景は奇々怪々の一言に尽きる。
少女がその正体を何と呼ぶのかは知識として知っている。

(百鬼夜行…まさか…)

「ガゴゼ…貴様…なぜそこにいる？」

「本家の奴らめ…」

知らない妖だった。
もしかしたら…という淡い期待も消える。
それでも、顔見知りの妖ばかりいるということは奴良組のみんなが助けにきてくれたのだ。
緊張の糸がほぐれ、地に膝をつける。

その人はカナとも知り合いのようだった。
すると、こちらに気づいては瞳孔を開かせた。
まるで彼女がここにいることを予想だにしていない、そんな表情だった。

ゆっくりと近づき、彼女と同じ目線にしゃがむ。
そっと頬に触れては優しく撫でる。

「良かった、怪我がなくて…」

その人が見詰める瞳があまりに切なく、柔らかいものだからAは戸惑う。

でも、不思議と目を逸らすことが出来なかった。

「悪かった、あんな酷いことを言ってしまって…
オレが姉ちゃんを守ってやる」

自分に掛けていた羽織をAに掛けると、刀だけ持ってガゴゼと向き合う。

先ほどの疑いは確信へと変わり、Aは心が晴れていくような気持ちになる。

「リ…クオ…」

蚊の鳴くような声で彼の名前を呼ぶ。

その後も、奴良組が優勢となりガゴゼの組みがなぎ倒されていく。

最終的に追い詰められたガゴゼはリクオの友達を襲おうとする。
それもリクオの手によって阻止される。

「オレが三代目をついでやらあ！！
人にあだなすような奴ぁオレが絶対に許さなねえ！」

「世の妖怪どもに告げろ。
オレが魑魅魍魎の主となる！！
全ての妖怪はオレの後ろで百鬼夜行の群れとなれ！」

その神々しさに、偉大な姿に気圧される。

____生涯私はこの日を忘れることはないだろう。