『___________________』【ぬら孫】 (ページ14)

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第十二幕ページ14

「お姉ちゃんっ！？どうしてここに…」

とっくに帰っているであろうとばかり思っていた人が目の前にいることに驚きを隠せないカナ。

本人は至って元気なように見える。

今度はカナの膝の上に頭を乗せた女の子に視線を向けた。息はしている。
気を失っているが、目立つ怪我は見当たらない。

どうやら、頭を打ったわけではなさそうだ。
ホッと一安心をして、カナの頭を撫でる。

「怖いの苦手なのに、この子を守ってたんだね。
偉いぞ～カナ！
お姉ちゃんが来たからにはもう大丈夫だよ」

その言葉と笑顔に励まされ、カナは安堵する。
今まで溜め込んだ恐怖と不安が吹き飛び、目に涙を浮かべていた。

Aは高学年として今できることをせねばと手をパシパシと叩き、皆の視線を集める。

「さあ、救助隊ももうすぐ来るよ！
いずれも怪我をしている子、意識のない子はここに連れてきて。
身体を動かせる人はバスから救急箱を持って怪我人の看病を、お友達が近くにいるかも点呼をとって…」

各々が指示に従い動き出す。

あとは、助けが来るのを待つのみ…その矢先に第二の災難が訪れる。

「キャッ！」

「家長くん！？びっくりするじゃないか…」

突然カナが叫びだし、髪がうねった男の子が驚く。
本人曰く、人が並んでいたのが見えたと言うので金髪の男の子が懐中電灯で照らす。

そこには、襤褸(ぼろ)を纏った何かが何人も立っていた。

「あんまりトンネルが壊れなかったようだな。
とにかく、ここにいる全員皆殺しじゃ。」

「若もろともな…ガガガ」

その言葉を聞き、片眉が動く。
みんなを後ろに下がらせ、そいつらの前にでた。

「お姉ちゃ…ダメだよっ」

「大丈夫。姉ちゃんが守ってあげるから。
……ガゴゼ。若もろともってことはあなたの独断なのね。どういうつもりなの。」

いつも、本家でヘラヘラと笑う子供とは思えないドスの効いた低い声色。
だが、相手はか弱い子供。
組みを引き連れ、場を恐怖で支配するガゴゼの前では何の怯(ひる)みにもならなかった。

「ガガガ…丁度良い。
お前のことも邪魔だと思っていたんだ悪餓鬼。
総大将や若にも気に入られよって。
さっさと出禁にしてしまえば良かったものの…」

幹部の中にはガゴゼのように、Aが本家に入り浸ることに反対している者も多くいた。
だが今はそんなことどうでもいい。

「私が気に入らないのは勝手だけどね…
あの子に手を出そうとしたことは絶対許さない」