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第一幕 魑魅魍魎の主となる ページ2

_____関東平野のとある街。
浮世絵町。

そこには、人々に今も畏れられる「極道一家」があるという_____。


「若ー。
若様ー。」

大きな屋敷の中を回り、誰かを探しているこの女。
彼女が『雪女』である。

雪女は広い庭園で、辺りを見回すと奥で蹲る少年を見つけた。

彼が探し求めていた若だと気づき、近寄ると何やら
呻き声をもらしている。

「リクオ様!お腹痛ですか!?
ど、どうしましょ…」

慌てふためく雪女。
いまだに顔を伏せるリクオ。
だが、その裏でひっそりと口角を上げる者がいた。

「え…うわっ!?」

何者かが雪女の足元をすくい、視界がグラっと反転する。
一体何が起こったのか。
彼女の頭の中は疑問符で埋め尽くされていた。

そう、すべては仕組まれていた罠なのである。

小さき妖怪たちとともに、まだ遊びたい盛りの子供たちが縄を引っ張り上げていた。

「「やったー!妖怪ゲットォ〜」」

「雪女か!
お前はあいかわらずドジだな〜」

奴良リクオ。八歳。
現在、小学三年生である。
そして、その隣には腹を抱えて爆笑する女の子がいた。

「思った通り。絶対引っかかると思った!
なんたって雪女は悪戯のいいカモだからね」

彼女の名は『飛田A』。
飛田と書いて『たかだ』と読む。

あまり手入れのされていない伽羅色の短い髪。
右目には小さな泣きぼくろ。
そして、世にも珍しい緑色の瞳を持つ少女だった。

彼女はリクオの二つ上であり、現在小学5年生である。
彼らは互いにハイタッチを交わし、雪女を放置してその場を離れた。
岩陰に隠れて、次のターゲットが来るのを待つ。

「あいつ、どこまで探しに…」

まるで何かに導かれているかのよう。
リクオの側近である妖怪、青田坊と黒田坊が颯爽と現れた。

青田坊は、鉄紺色の法衣に首もとに骸の数珠を身につけた大男。
黒田坊は笠を被った僧侶のような格好をしており、黒い長髪の二枚目の男性である。

青田坊は逆さ吊りになった雪女を見つけ、ギョッとする。
二人が助けようと駆け寄ると、重力に引っ張られる感覚がした。

「おちる!おちる!」

「ま、またやられた〜!!!」

なんといきなり地面が陥没したのだ。
正確には、事前に落とし穴がつくられていたもので二人は見事に嵌り、穴に落下したのだ。

身に覚えがあるこの落とし穴に、青田坊はわなわなと唇を震わせた。
そして、子供たちに向かって大声をあげる。

第二幕→←序幕 〜○○の君へ〜



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作者名:レモンティー | 作成日時:2020年5月6日 16時

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