第24話 ページ28
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ある日、俺は囚われの身となった。
何を言ってるかわからないとは思うが、ありのままを話そうと思う。
一度あることは二度ある。
二度あることは三度ある。そして、三度あることは四度あるという言葉を貴方は知っているでしょうか。
知らない?それはそうでしょう。今、私が考えたのですから。
前置きはさておき。
今、私は囚われています。具体的に言うと日の当たらない四畳半ほどの空間でしょうか。
正直に言います。
以前収容された施設の方がまだましだったと。
さすがお国の施設。ひもじいねー。
やーい、貧乏警察、税金泥棒。お前らなんてな(以下略)
「結構な囚人じゃねぇか。見ろ、総悟。ゴミのような目で俺たちを見てやがる」
「やだなぁ。土方さん。アンタは間違いなくゴミでさァ。なーんも間違ってないですよ。ねぇ、旦那」
「誰が囚人だ、コノヤロー。俺は囚われの身なの、主人公が囚人とかありえねぇから」
以前は冤罪を理由に。
だが、今日は違う。正直言って望みはない。
無能な税金泥棒共の裏には、奴がついている。
俺が奴のことを知るように、奴もまた俺を知っているのだ。
それを痛いほど実感したのがこの数日間のこと。逃げおうせようと試みた経路はすべて塞がれ、その先には忍びの技を駆使した暗殺向けの罠の数々が待ち受ける。
逃げるよりもこの豚箱にぶち込まれている方が安全だと錯覚させようという魂胆が丸見え。
そうとはわかっているのにここからでていけない理由は1つだ。
まだ死にたくないのだ。
にしても、乙女心を踏みにじったことは認めるがそれは生死を彷徨うほどの案件だったのだろうか。
皆に問いたい。
確かに俺が悪かったよ?
けどあれだろ、ぶっちゃけ男には意地を張らなきゃいけねぇ時があるっていうか。
誇りを守らなきゃならないときがあるっていうかさー。あるじゃん、そういうの。
「ねえよ、そして死ね。お前の誇りとかただの埃だろうが」
「絃、なんでこんなところに居やがる。つかなんで人の心の中覗いてやがるんだ」
「お散歩JKなめんなよ?あんなことやそんなことまでお見通しだ、コノヤロー」
「もう少し節度持った方がいいと思うわ、俺」
ついいつも通りのテンションで会話をしてしまったが、今となっては囚人と看守という関係。
「何プレイですか。そろそろ気が済んだだろ…」
わしゃりと自身の髪をかき、見上げれば差し出されている手に口元が緩む。
やはり、此奴も人の心をもった女だったのだと。
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