No.28「……あんたも、しつこいね。いい加減、消えてしまえば楽なのに」 ページ38
.
「…赤司、次の試合に向けてのこの作戦を、」
「必要ない。作戦など練らなくても僕たちは勝てばいい話だ」
この間からずっとそう。まるで別人。否、別人だ。
ガチャリ、
部室のドアが遠慮がちに開かれる。
「…ねえ、あの人いる?」
現れたのは彼の双子の片割れ。
彼女を見た瞬間、赤司の目が見開いた。
「…A、」
顔をほころばせて名前を呟く彼は、兄そのものだった。
「……」
当の妹は、昔のような甲斐甲斐しい顔ではない。
何か、違和感を覚えた顔だ。
「……誰、あんた」
やはり、か。さすがにわかるだろう。
「誰?血を分けた兄だ。」
「……あんたも、しつこいね。いい加減、消えてしまえば楽なのに」
兄に向けた罵倒なんかではなかった。そんな気がした。
赤司の中にいるもうひとりの人格に語りかけるかのようで。
彼女の片瞳が、
一瞬だけ、色が違ってみたんだ。
.
No.29 もうひとりの、兄。→←No.27「誰、だ?お前は」
2809人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Minami - ありがとうございます。神作です。語彙力失いました。 (2020年9月6日 19時) (レス) id: fff859bb45 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりに - もし私の間違えなら申し訳ありませんが、キセキの世代がいる学校ということは中学生のはずなのですが、作中では現在高校生のように描かれているのは何故でしょうか? (2019年4月2日 12時) (レス) id: b3d68cf6a0 (このIDを非表示/違反報告)
つき - 笑いあり涙ありってほんとコレ。過去1最高の作品だわ (2018年10月19日 22時) (レス) id: 7f1a7cb095 (このIDを非表示/違反報告)
レオ - 赤司のシスコン発言に対してのキセキのツッコミが面白いww (2018年4月2日 20時) (レス) id: ee52622bf1 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶パフェ - 今まで見てきた黒バス作品でも上位に入る!ってか一位だわこれ!見てて飽きなかった!Good job 作者!! (2017年10月1日 5時) (レス) id: b2e6687e3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:壬生狼 | 作成日時:2014年9月22日 21時