四十七話 決意 ページ49
「じゃあ、また」
学園近くの森で二人と別れる。命が削られる感覚には慣れていたが、呪いの解除はまだ先のようだ。
音を立てず木から塀に飛び移る。
「あ、戻ったんですね！」
怯えた少年がやってくる。
「…なあ、なんでそんなに怯えている？」
いつもの口調で話す。
「え…皆さんが、いつも殺気を放ってて、生きた心地がしないから…です」
「そうだな、ずっと繰り返しか…。名前は？」
「小松田秀作です」
「そう…じゃあ、戻るから」
自分の監獄へと足を進める。
暫く歩くと背の高い人間とぶつかった。
「あ…すまん。Aか…」
「誰でしょうか…？」
「山田伝蔵、教師だ」
山田…ああ。捕らえている人間の親か。二人から聞いている。
「山田さん、ですね。そんなに暗い顔して…どうかしましたか？」
「一人の息子が…捕らえられてな」
「あら、そんな事が…」
存ぜぬ口調。続けろ。
「無事かどうかさえ…わかれば…」
「多分無事ですよ、そう思うだけで、少しは楽になりませんか？」
「そう…ともいかないが。ありがとう」
元凶がここにあると言うのに、殺気一つない。生気を失ったような事…家族を奪われる、か。
また既視感だ。否、既視感ではない。同情、憐れみの類でもなく…なんだ、これは。
父親と会った餓鬼を見る感覚。
もう一度、奪ってしまうのか…？
「う゛っ…！」
頭痛がして山田の目の前で地面に膝をつく。
「お、おい…大丈夫か？」
肩に触れる、男の手。
抵抗せずに頭痛に耐える。流れる記憶、母親の体温。手から抜け落ちた、親の首。
いた、い…！
贖罪…痛みを知って、普通に生きる事…。
そうだ、そう言うことか。
「大丈夫だ…」
ヨロヨロと立ち上がって朝日の登った空を見上げる。いつもは大嫌いな青い空。
これが、私に出来る、唯一の償い。
「血霧は…解体だ」
血に濡れず、三人で生きたい。血霧の子供も、毎日死なずに済む。
たが切り出せるか？血霧に人生を捧げた二人に…そんな事が言えるのか？
いや、言わなくてはならない。私は決めた。絶対に「幸せ」と言うものを実現さると。
その前に…煩わしいこの学園、戻さなければ。生憎久々知と山田利吉が手中にある以上、学園からは切り離せん。
逃しても悪し、殺しても悪し、口封じも、いずれ血霧に悪し。
さて、どうやって学園に二人を戻して、再起させようか？
これは善の行動ではない。三人で暮らせるための、一つの経過に過ぎない。
私は、此処じゃ邪魔者なんだ。
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みこち(プロフ) - 銀鬼のサブさん» 有り難う御座います、因みに今は、ブリーチと妖怪ウオッチのクロスオーバーを書いています。まだ途中ですが、書きながら笑ってます(思い出して) (2021年5月28日 21時) (
レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 初めまして。みこちと申します。素晴らしい作品です。私も兵庫水軍と鬼滅刃や犬夜叉とのクロスオーバー書いてますが、大変魅力ある夢主です。楽しみにしてます！出来ましたら是非お越し下さい。 (2021年5月13日 9時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
輝羽(プロフ) - 見ていると話に見入ってしまいました。友人にも勧めてみたらその人もこの物語や銀鬼さんのファンになっていました。(私も) 応援しています！ (2021年4月5日 17時) (レス) id: df4ce87693 (このIDを非表示/違反報告)
星波 きらら(プロフ) - ^_^さん» その言い方は無いと思います。主は文才アピールなんてしなくても滲み出る文才があると思いますよ。貴方のせいで占ツクの民度が下がるんです。嫌なら見るな。それしか言えません。モラルを守ってネットを使いましょう。 (2021年2月15日 23時) (レス) id: 0560786132 (このIDを非表示/違反報告)
凛／月影／霖(プロフ) - 新作おめでとうございます！江戸時代からのトリップなんですね！どんな風にことが進むのか楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年1月1日 23時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀鬼 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ginki/
作成日時：2021年1月1日 18時
